5-10. 行動原理!!
□□□□□□□□
僕にはあまり理解出来ないけど彼女たちにとって探究心とは行動原理のようだ。目を輝かせながらトレーニングルームへの移動を催促された。ノッカーさんも口には出さないものの気にはなっているらしい。そもそもこの人もティアナさん側の人間だ。ティアナさんより少しだけオブラートに包むのが上手なだけで中身は変わらない。
「じゃあ早速火魔法を最大出力でグリーム君に出すよ」
「待ってください。ちょっとずつ出力上げていきませんか?もし最大出力で許容量をオーバーしていたらどこが限界だったかわからないですよ?」
「確かにそうだね。気が逸って失念していたよ。あと何となく君の無効化はあたしの最大出力は許容範囲な気が勝手にしてた。でも思っただけで確かめもせずに行動に移すのはよくないね、うん。君の言い分のが正しい」
ティアナさんの説得に成功した。これは快挙だ。仕方なくではなく納得してもらえたのだから。実際いきなり許容量をオーバーしていたら大惨事である。僕は今まで魔法で怪我をしたことがない。無効化能力があるのだから当たり前ではあるものの今回は怪我をする可能性は十分ある。少し怖いのだ。それをいきなり最大出力なんて無理だ。説得に成功してよかった。
「じゃあ少しずつ威力を上げていくよ。何か異変があったら教えてね」
「わかりました」
そう返事をしたらティアナさんがこちらに手を向け魔法を放つ。それはまるで蝋燭の火程度の微かな火。これくらいならあまり恐れることなく接せられる火力。宣言された通りやがて火力は上がっていく。蝋燭の火程度だったのが今は松明程度になった。それらの火は全て僕に当たって立ち消える。その為段々火力は上がっていく。上がっていく火力を見ながら急に頭の隅にある疑問が浮かんだ。
「ティアナさん、待ってください」
夢中になっている彼女を止めるために大きな声を出す。
「どうしたの?まだ余裕でしょ?」
以前にも2人の魔法を無効化したりモンスターの魔法を無効化したりしていたので限界が来た訳ではないということはバレている。
「そうなんですけどこのままだと酸欠になりませんか?」
「あぁ。確かにそこまで気が回ってなかったな。この部屋窓もないからね。うーん、とりあえず火魔法はやめようか」
いくら魔法を無効化出来ても一酸化炭素中毒はどうにも出来ない。