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5-5. ボランティアという名の義務!!

 

 □□□□□□□□


「グリム、ちょっと来い」


 朝のホームルームが終わり教室の(すみ)に呼び出される。心当たりはなかったけど特に悪いことをした覚えもないので素直にその言葉に従う。


「また王立研究所から呼び出しだ。夏季休暇前に向かってくれ」


 そう言われて差し出されたのは王城への通行許可証だった。強制ではないけどボランティアという名のほとんど義務である。


「何科からの要請でしょうか?」


 ギフト科からの要請なのか魔法科からの要請なのかで意味合いが変わってくる。どちらにせよ疲れはするもののティアナさんを相手にするよりはノッカーさんを相手にする方が気が楽だ。


「あー、両方からだ。長期休暇前にデータがほしいそうだ」


 少し言いづらそうにした後に教えてくれる。そういえばそのパターンもありましたね。ノッカーさんもあんまりティアナさんを抑止してくれないっていう1番嫌なパターンが。僕はこの年になってもあの屈辱を忘れてはいない。ノッカーさんに全てを(さら)け出すという屈辱を。というかあの時には既に前世の記憶があったので僕にとっては大人になってから起きた出来事と変わらない。合わせて30年近く生きて1度も成人していないけど。


「わかりました。期限はありますか?」


「事前連絡さえすればいつでもいいそうだ。暇な時にでも向かってくれ。勿論夏季休暇前にだぞ」


 人が居なさそうな日曜にでも行くか。ただでさえ僕をモルモットのような目で見てくる人物が2人は確実に居るのに他に人が居るとさらに増えることになる。僕の存在は今王立研究所では有名である。ギフトの汎用性もそうだし魔力値0による付加効力もそうだし極めつけは1年程前に手に入れたドラゴンスレイヤーとしての能力だ。読心に関してはハーティット以外知らないが身体が頑丈になったのは王立研究所の所員にはバレている。おかげさまでギフト科と魔法科以外に病理科からの熱い視線を感じている。招集要請がまだ2つの科からなだけマシだと思おう。2人でさえ手に負えないのだからこれ以上人数が増えられても困る。それに彼らは知りたいことが多すぎてどちらの実験を先にするかでしばしば揉める。3人以上になったら事態の収拾は更に難しくなるのは容易に想像出来る。



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