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4-54. 怖気づく!!

 

 □□□□□□□□


 洞窟に入ってきたのは4人だった。この人数だと入口の警備が起きたのだろうか。いくらケツァルコアトルが僕のことを庇ってくれていたとしてもそう簡単な問題でもあるまい。追及される前に逃げたかったな。だけどもう逃げ場はない。


「そんなに怖気(おじけ)づかなくても大丈夫だよ。敵意を感じないから」


 能力を得たばかりの僕にはハーティットのように細かいことはまだわからない。それに人間何がきっかけで攻撃的になるかわからないじゃないか。


「敵意を感じなくてもこの状況を見て敵意を抱くかもしれないよ」


 ケツァルコアトルを(した)っていたとしたらこの状況を見て敵意を抱いたとしても責められない。

 冷たく動かなくなった巨大な肉の塊。かつてドラゴンと呼ばれたもう動かない物。僕は数歩近づいてそれに触る。上下逆さまになった頭部は、鱗は硬いもののまだほんのり温かい。


「グリムは今人間不信だね。だけどぼくのことは信じてくれてるんでしょ?それと同じように他の人も信じられればいいのに」


 ハーティットのことを信じられるのは同じ転生者だから。だけどそれって立場で他の人を信じられないってことだよね。無条件で彼を信じるのに他の人は信じられないというのも失礼な話だ。いや、信じていたからこそ今これだけのダメージを受けているんだ。スタンツのことを信じていた。それこそ慕っていた。その思いは僕の一方通行だったのかもしれないけれど。僕らの間に出来た深い溝は埋まることはあるのかな。


「中々難しいよね」


「まぁ1度その状態になるとそうかもね」


 逃げることなく洞窟奥で入ってきた4人を待つ。この洞窟は分岐路もなく一本道なので逃げたところですれ違う。それなら諦観して待つことにした。ケツァルコアトルの遺骸(いがい)が見える所の方が話が早いだろう。責められるにしても僕の苦悩の成果がある所での方がマシだ。こうして彼の形を遺すことには成功したのだから。感謝されることも褒められることもないとわかっていて自分で出した結論なのだから。


 例え気配を察っせなくてもわかるくらい足音が近づいてくる。バタバタと走ってこちらに向かって来ている。

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