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4-52. 聞いていない!!

 

 □□□□□□□□


 あまりに不相応で不謹慎な拍手。眉間(みけん)(しわ)が寄る。それはハーティットが発していた。この場には僕と彼しか居ないのだから当然だ。怪訝な顔をする僕を見てハーティットが戸惑っている。


「いや、これでグリムが龍殺し(ドラゴンスレイヤー)になったのかと思ったらつい拍手しちゃってた。ぼくはここのドラゴンと関わりがなかったから何の感慨もなかったけど確かに軽率だったよ、ごめん」


 僕はハーティットの言葉通りドラゴンスレイヤーになってしまった。称号のようなものだろうか。


「そんな称号欲しくなかったけどね」


「称号?ドラゴンスレイヤーは称号だけじゃないよ。あれ?もしかしてグリム知らないの?」


 きょとんとした表情で首を(かし)げてこちらを見ている。一体僕は何を知らないというのだろうか。


「あぁ、本当に知らないんだ。ケツァルコアトルが故意に教えなかったのかな?あのね、ドラゴンを殺すことによって討伐者はドラゴンの能力を得るんだよ。グリムはたった今、ケツァルコアトルと同等の能力の持ち主になったんだ」


 聞いていない。聞いていない。聞いていない。そんなことは聞いていない。

 だってそれは僕に課された義務だと思ったから。やりたくないけどやらなきゃいけないこと。人に憎まれることはわかっていたからもういっそまとめてしまおうと思って。

 かつてケツァルコアトルだった物体を見る。もう何を言うこともない。彼が何を考えてこんなことをしたのかもうわからない。


「どうして何も言われなかったんだろう」


「ケツァルコアトルは君に殺して欲しかったから何も言わなかったんじゃないかな。その能力を(ほっ)する人もいるけどね。君がそういうタイプじゃないと踏んで」


 もし殺すことで能力を得ることを知っていたらもっと悩んだだろう。


「一体僕はどんな能力を得たんだろう?」


「まずは読心能力にテレパシーじゃない。あとは威圧(プレッシャー)と強大な魔力。魔力はどうなんだろう。グリムが魔力を得ることはできるのかな」


 魔力。神様に要らないと言ったのだ。ここでもし得ることになるなら最初から手に入れといた方がよかった。


「でもぼくは嬉しいよ。これでグリムもこちら側の人間なのかと思うと」


 こちら側?どういう意味だろうか。

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