4-50. 神様の試練!!
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¨我は今お主にしか話しかけてないのに連れにも声が届いているようだ¨
え。そうなのか。
「まぁ聞こえちゃうものは聞こえちゃうみたいだね。ドラゴンといえどモンスターだからかな?」
今回はドラゴンと内緒話は出来ないらしい。別にしたかったわけではないけど。
「あんまり気にならないかな。そもそも普通の会話は聞こえて当たり前なんだし」
「ならよかった。グリムにまで気味悪がられたらどうしようかと思ったよ」
ハーティットにとって何の気なしに言った言葉だったが僕にまでという彼は一体どれだけの人に気味悪がられたのだろう。彼の能力は隠そうと思えば隠せるものだがその容姿がそれを許さない。いつだったか彼は神様は試練を与えるのが大好きだと言っていた。そんな風に言う程彼は試練を与えられてきたのだ。僕に話したことから話していないことまで。そしてこれが僕に与えられた試練なのかもしれない。アズニエル家に生まれて受けた恩恵への。父やおじさまのことだってあの家に生まれなければ悩むこともなかっただろう。今からのことだってそうだ。アズニエルに生まれなければお願いされることもなかった。
「僕は君を気味悪がる要素がないからね。その能力も容姿もどうしてそうなったのか知ってるから」
「ありがとう。そう言ってくれるのは今まで生きてきた中でグリムしかいないよ。ぼくは長いことぼくら以外の転生者を探しているんだけど未だ会えてないんだ」
「確かに僕も会ったことないや。もしいるなら僕らみたいにちょっと特殊な能力持ちかもしれないね」
「可能性は高いね。だけどこの世界テレビやネットがないからどれだけ特殊な能力でも噂が広がらないんだよね。グリムも僕の噂あまり聞いたことないでしょう?」
「うん、確かにないね」
彼の容姿とモンスターと行動を共にしていることを鑑みれば前世でなら写真を撮られて広められていることだろう。
「色々と不便だけど晒されないのは利点かもね」
そう言って彼は笑う。苦労してきただろうに笑える彼を素直に凄いと思う。
そうこうしている間にドラゴンの居る最奥まで辿り着く。