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4-37. 期待は裏切るためにある!!

 

 □□□□□□□□


「いつもこんな感じなんですか?」


 馬車での移動は長いのにすることもないのでミカに話しかけてみる。


「こんな感じってのはどういう意味や?」


「えーと、いつもモンスターを倒して素材を売りに行く感じですか?」


「なんやそういう意味か。毎回じゃないで。ただ冒険するにも金はいるんや。あとは3日間じゃどこにも行けへんからな。今回は資金集めのみやな」


 なるほど。冒険者っていうよりも行商人みたいだなと思ったけど冒険するにも先立つ物は必要だもんね。


「これもエルバドに売りに行くんやで」


 ポンっと行きにはなかった荷物に手を乗せてミカがそう言う。あ、それも売り物ですか。何か必要な服でも買ったのかと思ったら買い付けだったとは思わなかった。それにしてもやたら移動が多い。1日の半分どころか3分の2くらいは移動時間だ。これでエルバドにも行くとなるともう3日中2日くらい馬車移動じゃないだろうか。


「もしかして明日行くんですか?」


 出来れば否定してほしくて質問する。


「せやで。明日はこれをエルバドに売りに行くんや。また早い時間から動くで。どうせ馬車の中で寝れるんやし」


 返って来たのは期待を裏切る肯定だった。馬車の中って当たり前だけど寝心地悪いんだよね。だけど馬車の中で寝れる僕らとは違って交代で御者役を務める人物に文句は言えない。

 ふと現実逃避からから完璧なお嬢様であるランの人生でこんなにも劣悪な環境に身を置くことは今後ないんじゃないだろうかと考えてみた。誘拐されたときもなんだかんだクッションを与えられ布を被せて貰っていたのでそこまで悪い待遇ではなかったし。勿論今の方が自由だが長時間という点で今の方がしんどい。わりと強行軍なのに文句の1つも言わないのは彼女の美点だ。ランはあまり不満を口に出さないし人を否定しない。


「そうですよね。今日も馬車で寝ましたしね」


 彼女を見習って肯定してみる。本当は寮に帰ってベッドで寝たい。ホームシックというわけではなく純粋に自分の空間でゆったりと休みたい。たった2日目でそんな風に思わせるなんて父の思惑通りだったらどうしよう。


 これなら領主になった方が楽だなって少しだけ思う。



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