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4-32. 僕は何も見ていない!!

 

 □□□□□□□□


 午前4時に町を出たというのにサシュハとの国境に到着したのはお昼頃だった。それだけ遠いのだ。


「通行証の提示をお願いします」


 そういえば僕らの通行証ってどうなってるんだろう。学園の理念上身分を明かすことは出来ないのだが通行証となると身分を証明しなければ発行されない。


「そういやリントヴルムは2人分の通行証しかないで。あんたらまさかここでお留守番なんか?」


「俺が3人の分は持っている。勿論俺の分も」


 そう言って(ふところ)から封筒を取り出す。一体その通行証はどうやって発行したのか(はなは)だ疑問だが敢えて質問するのはやめておこう。恐らく偽造なのだから。考えてみたら当然なのだが僕とランが2人で隣国に行くというだけのことが身分を明かすと出来ないのである。ここで身分を明かすと歓待を受けることになるしそれでは職業実践どころではない。

 なので僕はハドレアドが持っている通行証について詳しくは聞かない。目を瞑ろう。その言葉通り目を伏せていると門兵から通行許可が下りる。


「ようこそサシュハへ。ごゆっくりしていってください」


 石門を潜り見えたのは簡易的な屋台だった。売っていのは服や布地でさすが繊維工業の国だ。


「ここに売るんですか?」


「ああ、ここは観光客用なので買取はしてくれないんですよ」


「要するにぼったくり店や。騙されたらあかんで」


 店の前でそんなこと言わないでほしい。幸い周りには聞こえていないようで特に問題はなかった。


「うちらの商品はきちんと店構えてるとこに適正価格で売るんやで」


 周りにはぼったくり店と言われたお店がいくつも並んでいるがどうぼったくりなのかよくわからない。そういえば服すら買ったことがないということに気づいてしまった。いつもクローゼットを開ければ成長や季節により中身が変わっていたし学園に入ってからも私服は家から送られてきていた。学園ではあまり私服が必要なかったので送られてきた分以外に買うことはなかった。お金を払うという行為を食べ物を買うか遊びに使う以外したことがない。

 そもそも服がいくらで売られていればいいのかわからないのだ。ぼったくりとはいえ観光客向けなら高いのもしょうがないだろう。観光地価格というものがあるのは。

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