4-8. ていうかそんなの持ってたんだね!!
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「それじゃ行っくにゃー」
ガストール先生の開始の合図と共にルチカがこちらに向かってくる。ルチカは魔法を使うことなく僕の数m手前まで来てしまい慌ててそこでサイコキネシスを使って止める。向かってくる彼女をとりあえず空中に持ち上げる。持ち上げるの癖になっているな。とりあえず持ち上げれば相手の動きを封じられるしその後に何をすればいいか考えられるから楽なんだよね。
「にゃー、動かないにゃ」
じたばたと空中で手足を動かしているが後は腕に巻かれた紙を取れば僕の勝ちである。
僕はルチカが光魔法の使い手だから油断したのか彼女の手足までは拘束しなかった。
ヒュンッと左腕に巻かれた紙に目掛けて飛んできたのは何だったのか。地面に刺さったダガーを見てから何が飛んできたのか理解した。ナイフというよりもダガーというのが相応しい短剣が地面に刺さっていた。対人に使う短剣が。
今は魔法の授業中じゃなかったかな?だけど今日のルールは相手の腕に巻いた紙を外せば勝ちだということを思い出し考えるよりもまずは投げられた2本目のダガーを空中で止めルチカの腕に巻かれた紙を外す。それを僕の手元に引き寄せる。手中に収まったそれをルチカに見えるように掲げ勝負が終わったことを示す。
「負けちゃったにゃ」
とてもガッカリそうに言われた。負けを認めてくれたところで地面へと下ろす。
「まぁでも負けてもグリムのお嫁さんになれないわけじゃないからいいにゃ」
「あの時はなんか売り言葉に買い言葉みたいな感じになっちゃったけど今のところ募集してないよ」
「じゃあ仕方にゃいから募集するまで待ってあげるにゃ」
うーん、言葉って難しい。もう面倒になって否定する気も起きないので放置することにした。
しかし負けなくてよかった。光魔法を使うと思ってたら使わなかった上にまさかのダガーを使われて結構危なかった。魔法無効化能力を持っているので魔法攻撃は効かないしその中でも更に攻撃力皆無の光魔法だったからこそ油断してしまった。
1投目の照準が合っていれば負けていた。そう考えるとコイツ凄いな。
「報告してくるね」
「任せたにゃ」
こうして僕はぎりぎりの所でルチカに勝つことが出来た。とりあえずルチカが妻になるのを阻止することに成功した。あとはメアリに当たらないか勝てば心配事はなくなる。