12. 魔法の授業、ヒューイットの風魔法ってすごーい!!
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今日はある意味待ちに待った魔法の授業だ。この学園では週に3回もあるとても一般的な授業。
残念なことに体調は良好で仮病は使えそうにない。
スタンツの優しさが突き刺さる。とても申し訳ない。
「もし授業でペアになることになったらオレとなろうな」
「無理しなくていいよ。きっと僕のペアはリッツ先生とかがなってくれるよ」
「いや、オレは本当に何の無理もしていない。その場合オレは誰とペアを組むんだ?それこそじゃあ余った1人はは2人組と合流して3人組を作れと言われた場合を想像してみてほしい。女子の組に合流する勇気はオレにはないしかといってヒューイットの組に合流するのもイヤだ。ポルトが悪いヤツだとは思っていないがヒューイットはまだ仲良くできそうもない。うん、グリムがオレとペアになってくれたら全部解決なんだ」
本当に心からそう思ってくれているであろうことが伝わる。僕の肩に手を乗せお願いと頼み込んでくる。本来ペアを組んでくれと頼む立場なのは僕の方なのに。
ふふ、僕はなんて幸せ者なんだろう。
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体操服姿で運動場の端に集められた。
僕はてっきりローブに杖を想像していたのでちょっとガッカリだ。
「今日から魔法の授業を始める。まずは2人組を作ってもらう。席順の隣同士がペアだ」
あ、このパターンは考えてなかった。
ペア強制されてもスタンツが嫌がっていないことを事前に知れてるのが嬉しい。
「隣同士でできたペアでまずはお互いの属性を確認するんだ。そうしたら各組に紙と水を配るぞ」
紙と水?メモと熱中症対策だろうか?
掌サイズの紙と水差しが配られた。
「今からこの紙を使って魔法を発現させてもらう。地属性なら紙を土の中へ、水属性なら濡らし、火属性なら燃やし、風属性なら浮かし、光属性なら発光させろ」
なんとなく聞いた限りでは光属性が一番難しそうだ。
「紙と水は行き渡ったな?じゃあいまから補助魔道士のリッツ先生が見本見せてくれるからよく見とくんだぞ。魔法はイメージと魔力が大事だからな」
リッツ先生が全ての魔法を見せてくれた。
おそらくは少し威力を弱めたであろう魔法の発現だった。
皆はこれを見ただけで皆は魔法を使えるようになるのだろうか?何てお手軽んだろう。
「火魔法の発火後は水をかけるんだぞ。じゃあベア同士協力しながら開始」
先生が2人ついているとはいえ危ないもんね。初期消火は大事だよね。
「ところでスタンツは何属性なの?」
「オレは土属性て言われたよ。ただまだ魔法を使えたことないし実感わかないよな」
「そっか、まだ今日が魔法の授業1時間目だもんね」
それでも使えそうな人物に少なくとも2人心当たりがある。というかもう既に視界の端で成功させているのが見えた。ランは視界の端で見るにはとても大きい炎だった。ペアの女の子が慌てて水を掛けていた。
ヒューイットは風だから本来そこまで視界に入るわけでもないはずなのだが声が大きくて目に入ってしまった。
スタンツが真剣に地面に紙を置いて手を翳している最中僕は余所見をしていた。
僕、この授業することないんだもん。そもそも属性がない。
そう、だからしょうがない。
なんて思っていると既に風魔法を成功させたヒューイットが絡んでくる。位置的にも隣同士だし絡まれても先生が気づかない絶妙な距離で。
「君たち2人とも魔法使えないのかよ。ボクらはもう課題終わったよ」
やめなよぉと後ろからポルトの声が聞こえてくるがそんなもので彼が止まるなら苦労しない。
「イメージが足りないんじゃないのかな?魔力値0のそこの彼はともかく君には魔力一応あるんだろ?」
僕の友達を愚弄するそんな言葉に切れた。
「君の風魔法見ていたけどしょぼいね。本当に課題終わったの?空中で手を離しただけなんじゃないの?」
あの日の僕とは違い今日は体調は良好で、僕はスタンツと一緒に地面に張りつくのをやめて立ち上がる。
「何をっ!!くらえ僕の風魔法!!」
ヒューイットは僕に手を翳して僕の周りを風が通り抜けていった。
特に何も起きなかった。
「いま何かやったの?」
なんだかアホらしくなって溜飲を下げようとしたとき僕の視界には標的をスタンツに変えようとするヒューイットが目に入る。
「ふざけるなっ!!」
瞬間意識せず僕は能力を使ってしまってたいた。
スタンツを空高く持ち上げてしまっていたのだ。あの前世の日の僕とは違い、今日は体調良好でうっかり力が出すぎてしまった。冷静になりゆっくり安全にスタンツを地面に降ろしたが時既に遅し。僕らのいざござはクラス全員と先生2人に見られてしまっていた。
「わぁー、ヒューイットの風魔法すごーい」
うん、誤魔化しきれたかな?
ひしひしと感じる。
え?ヒューイット気絶してるのに何言ってるの?という視線を。