3-33. 結果報告と感謝!!
□□□□□□□□
外周エリアにある塀の近くの小さな民家。兄貴たちが住んでいる家に着きノックをする。入口にはガランが出てきてすぐに兄貴を連れてきてくれた。病気の母が居る家に子供5人で押しかけるのもいかがなものかと思うので申し訳ないけれど2人を馬車へと招待した。本来6人乗りの馬車だが大人2人と子供5人くらいが座る広さくらいは何とかあった。
「兄貴、ガラン。無事に友達を救出できたよ。協力してくれてありがとう」
「おう、坊主。よかったじゃねぇか」
「坊主、無事に帰って来れてよかったね」
「こんにちは、初めまして。ファナって言います。おかげさまで無事に戻ってくることが出来ました。ありがとうございます」
ファナは会ったこともない兄貴とガランにお礼を言いたいとついてきた。彼女の救出に関わった大人は兄貴とガラン、父とアーデおじさまと憲兵隊だったが僕の判断で会わせてあげられるのがこの2人だけだった。
「いやいや、オレたちは何もしてねぇぜ。ほとんど坊主の手柄だ」
「ああ、そういえばグリムありがとう。まだあんたにもお礼言ってなかったわね」
実に1週間越しにお礼を言われた。
「いいよ。君の為にしたことじゃないから」
そう、ファナの救出はファナの為というよりもメアリの為だった。
「おじさんたちありがとうございました」
「お二方、私からもお礼を申し上げますわ。ありがとうございました」
僕ら4人がお礼を言うなか、スタンツだけが言わない。彼らは僕やスタンツを誘拐した犯人でもあるからこのメンツでスタンツはお礼を言う必要がない。彼がお礼を言うと逆に兄貴とガランも困ってしまうだろう。
「いや、ほんとに何にも役に立つことできてねぇからお礼なんか言わないでくれ」
「僕たちが2人が居てくれてよかったと思ってるんだからいいんだよ」
うーん、と釈然としないようだったがここに来るまでに買った手土産を渡して彼らと別れる。受け取ってもらうまでも押し問答をしたが買ったのが子供の僕らでは食べないお酒のつまみになりそうな物ばかりだつたので受け取ってもらうことに成功した。僕の作戦勝ちである。何となくこうなるんじゃないかなって思ったんだよね。でも僕が彼らに感謝してるのは本当なんだ。兄貴のおかげで女の子が攫われやすいということを知れたしガランが手紙を届けてくれなかったら憲兵隊は助けに来なかっただろう。