11. そう、年齢など関係ない!!
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僕は本日もぼーっと1日過ごすことに成功した。何かのチャレンジでもしているのだろうか。
1日何も頭に入れないチャレンジ。
寮に戻り部屋のベッドで寝転がる。
「グリムは正直者だな」
んー、と寝転がりながらスタンツの方を向く。
僕は別に正直者じゃない。
ただ嘘をついていないだけ。
言わなくてもいいことを言っていないだけなんだよ。
例えば僕は五大家の一家だしランとも昔からの知り合いというか幼なじみだし。
副寮長のセイスは本人に確認していないけど母の一番下の弟のような気がするし。
皆にグリムと呼ぶようにお願いすることによりまだ幼く貴族社会にお披露目されていないとはいえグリームという名に心当たりがある人間を排除しているし。
けれども僕はそれらを飲み込んで。
何も言わない。
「僕が言わなくてもバレちゃうからね」
いずれバレる嘘ならつく必要もないのだ。
正直でいることと黙っていることは矛盾しているのに両立している。
実を言うと僕は今日のあの女子3人組の態度すら有難くさえ思っている。
実家にいた頃は僕の意見はなんでも通ったし使用人たちだけでなく溺愛されていたので両親ですら僕に否と言うことはなかった。
妹たちも僕のことが好きだったからケンカこそすれ僕を否定することはなかった。
そう、なんの利用価値もない僕に優しくしてくれるスタンツ、立場上僕の身分を知っていても対等にいられるランは貴重なのだ。
ただ例えスタンツが僕の身分を知っても変わらないかもしれないが彼の両親は?周りの人は?僕にはそんな自信はない。とても優しくしてくれるだろう、それはとても。
例えば今日の女子3人組。例えばヒューイット。
彼女らは僕の正体を知って変わらないでいてくれるだろうか。優しくなんてしなくていい。受け入れられなくても無条件の親愛や無理な忠誠は要らないんだ。
結局のところグリーム・フォン・アズニエルは自分に自信がないのだ。人間的魅力がないから家名に負ける。ラン・ノア・ハーミンクはあんなにも地に足つけて堂々と立っているというのに。彼女はわかっている己の立場を。
はー、とため息をついてスタンツを心配させる。
なんでもないと言いつつこんなんだからランに婚約の話を蹴られるのだと思った。
実のところ婚約話が出たとき特になにも疑問に思わなかった。むしろ五大家の一家同士そして同い年それはとても自然な流れだと思ったのを覚えている。
しかし彼女から断られた。詳細までは聞いていないが完璧お嬢様な彼女に対して僕が至らないせいだろう。
小さな頃から知っているが彼女はいつの年齢でもまるで1枚の絵画のように美しかった。あの神様がサービスで用意してくれたのかと思う程に。まぁ実際は振られているわけだしちょっと安心する。理由もなく好かれるというのも気持ちの悪い話だ。
そして同じ五大家の1人として自分の意思を持っている完璧お嬢様のラン・ノア・ハーミンクを僕は1人の人間として尊敬している。年齢など関係ない。




