3-23. 怯えたお姉さん!!
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バンっという音とともに食堂のドアが開く。そこには10人くらい人が居た。お兄さんが吹いた笛の音を聞いて来たのだろう。
10人なら持ち上げられるかな。例え魔法を使えないように手を封じてもタックルされたら負けちゃうからね。駆けつけた全員にいただきますのポーズをしてもらい持ち上げる。ナイフなんかを投げられても困るのでそのポーズで身動き取れないようにしている。上にいてもらうことにより制圧済みの敵とそうでない敵の区別もしやすい。
「これで全部かな?」
「わかりませんわ。でもまだいると思いますの。この規模の建物に誘拐された少女が暮らしているなら10人ではとても抑えきれませんもの」
「そうだよね。ねぇ、お姉さんはここに大人が何人いるか知ってる?」
床に蹲って震えている少女に話かける。耳を塞ぎ目を瞑っているので聞こえていないみたいだ。肩をポンと叩きもう一度声をかける。
「ねぇ、ここに魔法士や騎士、戦える大人が何人いるか知ってる?」
肩に置かれた手にビクッと怯えた様子を見せ首を振る。今度は震えているわけではなさそうだ。戦える大人と訂正したのは調理師や医師なんかの非戦闘員もいると思ったからだ。これだけの大規模な施設だから少なくとも医師はいるだろう。街の医師にかかれない少女たちが大量にいるのだから。
「わからない。でも20人とか30人はいると思う」
もういっそいっぺんに来てくれないかな。維持してる方がツラい。そういえば中級魔法士がごろごろ居るって言ってたっけ。
「どうしてそんなに怯えているの?」
「誰かが反抗的な態度を取ると罰を受けるの。反抗した本人は勿論その周りの子にも罰を与えるときがあるの」
罰が怖くて怯えているのか。少女たち全員が怯えているということは全員受けたことがあるのだろう。勝手に連れてきておいてなんて理不尽なんだ。しかし一体この建物は何なのだろう。このお姉さんの話を聞く限り罰を受けるほどここに滞在するということだが何の目的で攫ってきて何の目的で生活させるのだろうか。
第二弾が到着しそうなのかドタバタと聞こえる。援軍第一弾から遅れること約3分といったところか。
今のうちに飴を食べておくか。そう思って胸に手を突っ込んで小瓶を出す。
僕ってなんてバカなんだろう。