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10. もう何も怖くない、そんなわけなかった!!

 

 □□□□□□□□


 学園生活3日目。本日から授業があるらしい。まぁそろそろちょっとずつ授業は開始されるよね。

 幸い今日は魔法の授業はなし。

 そうなると逆に僕には少し退屈な授業になる。


 前世では14歳で死んだわけだし今世ではこの年ににしては教育はされている方だと思う。使えないけど魔法の教育もされている。今世の教育に関してはなんとなくランには負けている気しかしないけど。


 魔力値0という僕にとっての秘密を1部とはいえ明かしたことにより心にゆとりができた。



 それにより1日目、2日目には目に入るだけだったモブと言うには失礼なクラスメイトの顔が見えてきた。


 とは言ってもかろうじて関わりがありそうなのは僕の前の席のメアリと斜め前のファナくらいだろうか。名前はスタンツに聞いた。自己紹介をしているのに君、名前なんていうのなんて聞く勇気がなくそれこそ関わることになる可能性のある前の席のメアリと斜め前のファナの分だけでもと思い聞いておいたのだ。


 僕の前の席のメアリは長めの前髪にボブくらいの短めのショートカットの女の子だ。その前髪は決してワンレングスというわけではなく目にかかっていて前が見にくそうである。そして長い前髪に横髪で顔を全体的に覆っている。髪色はグレイなので意外と隙間から周りが見えるのかもしれない。


 斜め前のファナはそんなメアリとは友達なのかよく一緒にいる。学園に来てからの友達なら友達歴3日だが例え3日でも仲良くなれることは僕が身を持って知っている。

 よく考えたら席順は好きな席なのだから仲がよいのは当然である。


 ファナは少し暗めの髪で光に反射すると紫色に見える気がする。うっすら見えるだけで普段は黒に近い。おそらく僕の髪色と似た性質だ。僕の髪も普段は黒に近く光に当たると暗いオレンジ色に見えることがある。彼女も肩にかかるかかからないか程度のショートカットでウェーブがかった髪を後ろでリボンを使い留めていた。


 メアリとファナが一緒にいる姿は気の強いお姉ちゃんと少し大人しい妹といった感じで妹たちを思い出して微笑ましい。


 自分の席につき2人を眺めているとあらぬ方向から声をかけられた。


「ちょっと、グリム君」


 右斜め後ろから声をかけられるというちょっと想定外のことが起きた。振り向くとそこには女の子が3人居た。

 まぁ僕の前にはメアリとファナが仲良くお喋りしているので遠慮して後ろにまわったのかもしれない。


「なんでしょう?」


 そして想定外のことがもう1つ。声をかけてきた彼女たちの名前がわからない。先ほどの僕の余裕は一瞬で消し飛んでいつもと口調が違う。

 僕に声をかけたリーダー格と思しき少女はメアリやファナとは違い長いストレートロングに前髪もアップにしておでこを見せている。

 クラスの女子の中では背は高い方だろうか。僕らはまだ9歳だからこれから先どれだけでも可能性はあるので彼女との身長差とか僕は気にしない。それにこの年頃は女の子の方が成長が早いと言うし。だから僕は気にしない。

 同い年の男の子であるスタンツとも10cm以上身長差があるがヒューイットと僕はあまり変わらないので気にしない。

 うん、気にしない。


 彼女の左側にはメガネでショートカットの女の子が、右側に茶髪で三つ編みの女の子が控えていた。

 ちょっと男子真面目に掃除してよね。とでも言われそうな雰囲気である。


 ただでさえ背の高い彼女が座っている僕に対峙しているせいで僕は首を上に向ける。そして彼女の名前を聞こうにも助けてもらえるはずのスタンツは壁の向こう。

 なんという鉄壁だろうか。女子3人組。彼女たちは初日にヒューイットの取り巻きをしていた女子だった。


「あなた昨日なんで1人講堂に残ったの?」


 そりゃぁ、気になる。

 僕だって逆の立場なら絶対気になる。直接聞くかどうは別だか気にはなるよね。うん、なんか彼女たち3人以外にも視線を感じるけどしょうがない。その中には僕を心配してくれたスタンツの視線もあることだしよしとしよう。

 さて、どうしたものか。僕はこの学園に来てから修羅場に立たされすぎではないだろうか。


「うん、ちょっとね」


「うん、ちょっとじゃなくてなんでか聞いてるの!!」


 あ、この年頃の女子にそんな言葉は通じないよね。とういかランとスタンツがとても大人びているだけで性別関係なく子供って本来こういう生き物だ。


「本人が話したがっていないことを無理矢理聞き出そうだなんてはしたないのではありませか?」


 少し好戦的なお嬢様が助けてくださいました。

 だけど新たな火種になりそうだったしスタンツとヒューイットまで入ってきそうなのでもう僕は正直者になろう。


「僕、魔力値0だったんだ。そのことでガストール先生に呼び止められたんだ」


 笑顔で言ってみる。


「でも学園長とも話して魔力値0でも学園には通えることになったんだ」


 これでどうにかならないだろうか。


「なによそれ。あなたじゃあ魔法の授業はどうするのよ。いまはまだみんな魔法使えないからいいかもしれないけど外でモンスターを倒す実習とかあったら足でまといじゃない」


 とてもよい切れ味です。僕はダウン寸前。


「一応学園側も把握しているしそこら辺はフォローしてもらえるんじゃないかな」


「そう、私はあなたをフォローするつもりはないから。迷惑かけないでよね」


 もうやめて、僕の魔力値は0だよ。

 元からだった。


 とても厳しくも子供らしい相手への直接口撃をくらった。

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