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3-12. ご尊顔!!

 

 □□□□□□□□


 どれくらいの時間が経ったのだろうか。寝てしまったのでよくわからない。

 蓋を開けられて起こされる。起こしに来た人物がランプを持っていることを考えるとまだ夜明け前みたいだ。体感的にもまだそんなに経ってはいないと思う。

 起こしに来たのは若くて平均よりも体格のよい男だった。22歳くらいだろうか。なんの為に起こされたのだろう。ランプを床に置くとこちらに来て首の下と膝の下に手を通されお姫様抱っこされる。え?これもしかしてイタズラされる流れ?と一瞬戦慄したがクッションを敷いた床に置かれて座った状態にされた後お腹辺りから布を被せられると男はすぐに次の箱へと向かって行った。後から入れられた僕が先に出されただけのようだ。

 空いた箱は一旦奥の箱に重ねられスペースを確保してから隣の箱が開けられる。箱の中では体勢が辛かったし出してもらえるのは有難い。商品を損なわない努力はしているらしい。箱から出されたということは検問はいつの間にか済んだようだ。

 僕の隣の箱は例の掘り出し物だ。一体どんな人物が出てくるのか少しだけワクワクしていると出てきたのは柔らかなボリュームのある金髪に透き通るような白い肌、長い睫毛に縁取られた宝石のような橙色の瞳の絵画に描かれていそうな超絶美少女だった。


 というかランだった。


 口を縛られていなかったら恐らく声が出ていたことだろう。なんでと言おうとしたが縛られていることにより上手く声が出ず言葉を呑み込むことができた。

 道理で反対しなかったわけだ。あの時には既に来るつもりだったのだろう。彼女の提案を(ことごと)く否定した報いだろうか。ランが僕の横に置かれる。曲げた膝に顔を突っ伏する。全身を縛られているがこれくらいの身動きは取れる。

 ファナの救出のみを目的にすればよかったのにランが来たことによりやらなければいけないことが増えてしまった。彼女の身も守らなければいけないらしい。余程のことがない限り僕らは商品で商品価値の下がることはされないだろう。少しゲスいかもしれないがそれこそ最後までイタズラされることはないだろう。


 それでも。


 ランが(けが)されることがあってはならない。掘り出し物と言われるくらいだ。大切に扱われることを祈ろう。万が一の時はサイコキネシスを使うしかあるまい。

 考えが(まと)まったところで顔を上げ右を見る。


 そこには。


 僕の横にはランが居て更にその横にはメアリが居た。

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