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第14話 間違える推測

 


「 ではどの家と面会したか当ててみましょうか?」

「 はっ?何を言っているんだ?」


 殿下が不機嫌そうな圧力を飛ばしてくるが涼しい顔で受け流す。所詮子供の虚仮威し、怖がるに値しない。


「 おっしゃいたくないなら私が勝手に想像するだけです。」

「 脅しか?そんなもので言うわけないだろ。」

「 まぁ、心外ですわ。殿下を脅すなんて恐れ多い。」


 クスクスと嗤う。お前の言ったことを信用するとでも?その俺を突き放す不自然な態度をとるお前が?面白いことをいうな。これが本心から言ってるならもう少し勉強した方がいいぞ?


「 王族の方に面会できるとしたら伯爵家以上の家格、それも王家に縁のある方たちでしょう。そうなるとディッセル家を除いた三つの公爵家と臣籍降下で姫殿下が嫁いだ四つの伯爵家ですね。」

「 何を言ってる?」


 ガキが白々しいことをのたまっている。そんな安い演技に騙されるほど俺は馬鹿じゃない。


「 殿下に面会ということは殿下に直接の要件があったということでしょう。例えば婚約に関してとか。」

「 …… 」


 その7家のなかで殿下と年が近い娘を持つ家はメルビィス公爵家とパリキワ伯爵家。パリキワ家は代々騎士団長となる武官の家で権力闘争にはあまり興味がない。つまり


「 ズバリ、イノセント伯爵家ですね。」


 メルビィス家だな。だが口にはしない。したところで否定するか黙秘するだけだ。だから不安を植え付けるとしよう。動きや思考が鈍ってしまうように


「 イノセント家は神官長の家系ですから今回の婚約の祝福をしたのではないですか?それ以外となると私にはよく思いつきません。」

「 ……ああ、そうだ神官長が祝福させてくれと煩くてな実に面倒な儀礼を受けさせられた。」


 だいたい予想できる。現在のメルビィス家当主は愚鈍なくせに権力欲が深いと聞く。国勢をろくに考えず第二王子を王太子にして自分の傀儡にしようと娘を婚約させようとしているのだろう。


「 貴族子女との婚約を勧められた少し考えてしまいましたが私がいるのですからあり得ませんよね?」

「 ……そうだな。」


 殿下にとっては甘い誘惑だろうな。なにせ俺と婚約している限り王太子になるめはない。逆にメルビィス家との婚約をしたら公爵家という強力な支援者が手に入るのだ。そもそも忌み子と婚約なんかしたくないと思っているかもしれないからな。


 明確な裏切りを確認したわけでもない。たぶんまだ迷っているだけだ。それだけなら許してやろう。


( ただ、裏切りがわかったらどんな手を使っても報復するけどな。)


「 婚約破棄すれば別ですけど殿下はそんなことしませんよね?」

「 ……ああ。」

「 あら、顔色が悪うございますよ。体調でも崩しているのでしょうか?貴族と面会ばかりして少し疲れているのでは?」

「 そも、かもな。」


 あら、なぜそんな化け物を見るような目で見るのだろうか?ただの日常会話をしていただけだろ?


 にっこり笑いかける。人の恐怖を和らげるにはこれが有効と聞くからな。殿下はいっそう顔色を悪くした。はて、どうしたのだろうか?



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