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平凡サラリーマンの絶対帰還行動録  作者: JIRO
第2章【ノイ編】
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【番外編】平民街、広場にて

日々読んで下さりありがとうございます。

第二章の本当の最終話、「【番外編】平民街、広場にて」になります。


『……トワ……行っちゃったね……』


『ちゃんと故郷に帰れるといいんだが……』


『本当になぁ……』


『最初の頃、私はもう見てるだけで辛くて辛くて……』


『あー……俺もだ』


『カエリタイ、カエリタイって片言で……』


『ニホン、カエリタイ、ミチ、オシエテってなぁ……』


『最初の頃なんかガリガリでな……』


『そうなんですか?』


『あーお前はトワに会ったの遅かったからなぁ』


『あぁ、酷いものだった』


『ガリガリのヒョロヒョロで……』


『言葉も碌に喋れなくてなぁ……』


『頑張ってたよ……あの子は……』


『毎日毎日言葉の勉強してなぁ』


『これは何? これは何? ってな』


『懐かしいな……』


『畑仕事もねぇ、最初はほーんとへっぴり腰で……』


『農具の使い方も武器の使い方も下手くそでな』


『革を叩くのも弱すぎてよぉ』


『金槌持ってるあいつの腕が折れちまいそうだったな!』


『なーんも出来ない奴だと思ってたら、いきなり美味いもん作り出してな!』


『あぁ! あれには驚いた!』


『トワの作ったもん、どれも美味かったなー!』


『トワがいなくなったらもう売らないのか?』


『いや、フレドが作り方を知ってるそうだ』


『そいつは良かった!』


『……私、フレドが作ったの食べたけど……トワが作ってくれたやつのほうが美味しかったよ……』


『トワ……もうかえってこないの……?』


『トワまた来るよね? またプリン作ってくれるよね?』


『そうだなぁ……』


『トワ……なんで出てっちゃったの……?』


『私達のこと嫌いになっちゃったの……?』


『いやいや、そうじゃねぇよ』


『トワも悲しそうだっただろ? トワも皆と離れるのは悲しかったんだよ』


『……じゃあなんで……出てっちゃうの……?』


『家族と離れたら寂しいだろ?』


『……さびしい』


『家族と二度と会えなかったら悲しいだろ?』


『……かなしい』


『だろ? だからトワは故郷に帰りたいんだよ』


『そっか……』


『ちゃんと故郷に帰れるといいんだが……』


『お前、さっきと同じこと言ってるぞ?』


『心配でな……』


『トワ……弱っちいからなぁ……』


『確かに……』


『トワったら笑っちゃうのよ? 私が荷物を持ってたら半分持ってくれたんだけど……』


『持ち上がらなかったんでしょう?』


『そう! 女の私でも持てるのに!』


『見たわよ、それ! アンタったらトワがショック受けてるのに爆笑して……!』


『トワ、可哀想ー』


『可哀想なのは私よ! 軽々持てちゃう私はなんなのよって感じ!』


『……トワ、困ってるといつも声をかけてくれたよね……』


『……そうね』


『ま、足手纏いになることが殆どだったけどな!』


『あんたは声もかけないでしょうが!』


『う、うっせぇなぁ……』


『あー……リバーシ大会もトワが始めたんだったか?』


『ペールだろ?』


『いやいや、私はトワを手伝っただけさ』


『そうよ……トワが……うっ……ううっ……やりたいって……』


『メール……もう泣き止みなさい』


『だって……トワが……トワが……』


『笑顔で見送ってやろうと決めただろう?』


『笑顔で見送ったわ! ……見送ったわよ!』


『あぁ……すまない。そうだな、君は頑張った』


『……こんな……こんなことを言っちゃいけないって……分かってる、分かってるのよ』


『ん?』


『私達じゃ……トワの本当の家族に……なれなかったのかしら……?』


『メール……言っていただろう? トワも本当の家族のように思っていたと……』


『でも……! なら……! 出ていかなくていいじゃない……!』


『メール……』


『外は……! 盗賊もいるわ……! 魔物だって……! あんな、あんな危ない場所に……!』


『メール、君も分かっているだろう? どれだけトワが故郷に帰りたいか』


『分かっているわ……分かっているけど……』


『メール、もう休みなさい。ほら、立てるか?』


『……トワ……いなくなると……寂しいね……』


『そうだな……』


『……フレド、本当についていかなくてよかったの……?』


『あんな風に言われたら……ついていけないだろ』


『…………そう、だね……』


『……お前を置いていけないしな』


『……私も……行くって言ってるのに……』


『駄目だって言っただろ? ティミドを危ない目に合わせたくないんだ』


『……フレドより……私の方が強いもん……』


『魔力だけだろ!? 生意気なことを言うのはこの口か!?』


『やっ、ちょ……! やめて……!』


『おい、そこ! イチャイチャしてんじゃねぇぞ!』


『こんな時に何イチャついてんだてめぇら!』


『悪い悪い、僻むなって!』


『フレド、てめぇ!』


『喧嘩売ってんのか!?』


『僻んでんじゃねぇよ! 空気読めって言ってんだよ!』


『んー? 空気を読んだ結果、僻んでるなーって感じたんだけど?』


『殺すぞ!』


『ティミド―! そんな奴やめとけって!』


『そうそう! そんな奴すーぐ浮気するぜ!』


『しねぇよ! 俺はずっとティミド一筋ですー!』


『まだ付き合ったばっかりだろうが!』


『そういやティミドとフレドがくっついたのっていつだっけ?』


『最近だよなー』


『ほら、あれだよ、トワとティミドがリバーシで戦った後……』


『あー……付き合ってもないくせに彼氏面でフレドがティミドを庇った時か』


『言い方に悪意ありすぎだろ!』


『……私は……嬉しかったよ?』


『ティミド……!』


『だからイチャイチャしてんじゃねぇよ!』


『殺すぞ! 』


『物騒すぎるだろ……』


『ったく、トワが余計なことするからよー』


『いや、お前もリバーシにハマりまくってただろ』


『いつも大会に出て初戦敗退してるよなー』


『はぁ!? ぜ、前々回は二回戦に進んだっつーの!』


『ハイハイ』


『ティミドは3大会目で優勝したんだっけ?』


『…………う、うん……』


『すごいよなー! 初めての大会はアルマが優勝だろ?』


『マスル家すげぇな』


『……そ、そんなこと……ないよ……』


『でもさー、ティミドとこうやって話せるようになって良かったよな』


『そうそう、前はティミド話しかけると俯いて逃げちゃったもんな』


『…………ご、ごめんなさい……』


『こうやって話せるようになったのもトワのおかげだな!』


『ちゃんと故郷に帰れるといいんだが……』


『さっきから何回同じこと言うんだ、お前は』


『でも本当、帰れるといいですね……』


『そうだな……』


『あいつの故郷遠いんだろ……?』


『応援することしか出来ないもんな……』


『応援か……あ! あれやろうぜ!』


『あれ?』


『ほら、収穫祭の時にやるやつ!』


『あー……収穫祈願のやつか』


『収穫祭? まだだろ?』


『収穫祭じゃないけどさ、トワの帰還を祈願してさー』


『いいじゃねぇか、やろうぜやろうぜ!』


『おー? なんだなんだ?』


『何かやるのか?』


『若い奴等がトワの帰還祈願しようってよ !』


『あぁ?』


『収穫祈願をトワの帰還祈願に変えてやるんだとよ』


『おぉ、いいじゃねぇか! 俺も混ざるぜ』


『俺も』


『はーい! 私もやるー!』


『ペールとメールも呼んで来い!』


『おぉ、俺がひとっ走り行ってくるわ!』


『他の奴らも呼ぶか?』


『トワと関わった奴は大体もういるだろ』


『あー確かに』


『あいつ何処行った?』


『さっき飲みすぎて裏で吐いてたぞ』


『連れてこい、連れてこい』


『大丈夫かねぇ……』


『おーい! ペールとメール、連れてきたぞー!』


『おっ、待ってました!』


『全員揃ったかー?』


『よし、声揃えろよー!』




『『『『 トワの帰還を祈願して! 』』』』

『『『『 XXXXX、XXXXXXXXXXXXX! 』』』』







読んで下さりありがとうございました!

今回は番外編ということで、少し特殊な会話のみのお話となりました。

各セリフが誰なのか、想像しながら楽しんで頂ければ幸いです。


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