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ひとりぼっちの過ごし方。




 非常に面倒な体になってしまいました。

 それも不便なことに、誰からも認知してもらえないくせにお腹は減ります。



 認知してもらえないということは、仕事してお金稼ぐとかできないません。

 所持金はいくらかありますが、そもそも支払うこともできないのです。



 なので申し訳ない話ですが、食事はコンビニやスーパーから弁当いただいていました。

 きっとこのことも誰にも私がやったと気づかれてません。


 緊急事態だとことで大目に見てもらえればと思います。

 そうしないと私、餓死してしまいます。

 その代わりにはなっていませんが、店の前を勝手に掃除などしていました。



 ちなみに弁当は最初の一週間くらいでほとんど食べちゃったので飽きてしまいました。

 こうして食べてみると、種類はあまり多くありませんでした。

 勝手に食べて何を言っているんだという話なんですが……。

 




 そしてお察しのとおり、時間を持て余しました。

 宝くじ当たった人ってこんなかんじなのかなぁなんてことを、よく晴れた秋空の下で思いながら散歩しました。

 公園でのんびり過ごしました。

 それにしても暇で仕方なかったです。




 なので私は近所の図書館で適当に一冊抜き取って、電車に乗りました。

 各駅の普通電車に乗って、一冊の本をゆっくりと堪能しました。


 読み終わるとまた図書館に本を返しました。

 そんな生活を二週間くらいしてました。



 最初のころは、なんか映画のワンシーンみたいでかっこいい、なんて自分に酔っていましたけど、電車にも酔いました。

 途中からもう苦痛でした。

 なにせ一日中電車に乗って活字読むのですから。

 そもそも私はそんなに本を読むのは得意じゃないんです。



 電車で読書の旅は私のように平凡な市民には憧れでしたが、あれは憧れのままにしておいた方がよかったなと思いました。





 その次に私がしたのは、映画館で映画を観ることでした。

 存在が認知されないので、もう声をあげて泣きました。



 あ、自分って映画見てこんなに泣けるんだって、初めて知りました。

 隣に座ってる人のポップコーンを勝手に食べたりしてました。

 なんで人の食べ物ってあんなに美味しく感じるのでしょうか。



 これは結構楽しくて、三週間くらいやってました。

 でも、やっぱり途中から飽き始めてしまいました。




 なので最後のほうはスクリーンの前で踊ってみたり、上映中にお喋りしてるカップルの頭を叩いたり、スマホをいじって光を放ってる奴の頭を叩いたりして暇を潰しました。

 本当に暇人です。




 それでも映画館から出た瞬間の切なさは何度味わっても良いものでした。

 あのスクリーンの中の世界から、現実に戻ってきたような。


 あの切なさはなんなのでしょう。

 死ぬまでずっと感じていたいなぁなんて、いつも思います。





 

「ちょっとすみません」




 街中で男の子に声をかけられました。

 キャッチかなって思い通り過ぎようしたのですが、よく考えたら私をキャッチできる人なんてこの世にいないので思わず振り返りました。

 男の子は言いました。




「あんたも透明人間にされちゃった?」





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