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初心者講習

リフィさんに、初心者講習は二階の講堂で行われると聞き、早速向かうことにした。

部屋はかなりの広さがあり、そんな広い部屋の中には、講習を受けるであろう自分と同じ、駆け出しの冒険者が何人かいる。

皆、バラバラに散らばって座っており、私もそれに習って適当な席に腰を下ろす。

何とはなしに、周りを見回してみる。

どんな人がこの講習を受けに来ているんだろう。

軽装の前衛職っぽい人が三人と、ローブを羽織った魔法使いっぽい人が一人。

真剣な表情で講習を待つ人もいれば、今か今かとそわそわしてる人もいる。

完全に寝てるだろ、あれって人もだ。

しばらく待っていると、講堂のドアが開く。


「待たせたな、諸君。」


すごくガタイのいい人が入ってきた。

どうやらこの人が講師の人みたい。

中々の強面だ。


「俺は、このギルドで支部長を勤めているガイエンという。さて、早速講習を始めさせてもらう。まず、冒険者登録をしたさいに受け取ったカードをみてほしい。」


魔法の袋よりカードを取り出す。

私専用のカードだ。

見ると、ちょっとにやけてしまう。


「では登録証の説明をするぞ。そこには、自分の名前、年齢、性別が記載されていると思う。依頼を1つでも完了すると、正式に冒険者として認可されることになり、名前の横には現在のランクが記載されるようになる。つまり、現在のランクが表記されてないということは、今はまだギルドに登録されているだけで、正式に冒険者とは見なされていない訳だ。」


なんと!まだ、正式には冒険者じゃないと!


「冒険者のランクはA~Eまでの5つに分かれている。これは現在の実績のみを見て判断されているものであり、特に請け負う仕事には何ら関係ない。自分に実力があるというならば、Aランク推奨の依頼をEランクの冒険者が受ける事も可能だ。冒険者は生きるも死ぬも自己責任だからな。ただし、ランクの記載がされてない諸君らは別だ。まずは、Eランクの仕事を受けてもらう事になる。これは依頼の受注から完了までの流れを覚えてもらうための措置だ。了承しておいてもらいたい。」


つまり、とにかく依頼を1つは完了させればいいってことね。

講習が終わったらどんな依頼があるか確認してみよう。


「それから・・・」


あとは、冒険者としての心構えと緒注意についての話が続いた。

重要なのは冒頭の登録証についての話ぐらいだった。


「・・・さて、これで講習は終了とする。次は魔法適正の確認か。諸君、別室に一人ずつ移動してもらう。講堂に来た順で、講堂の向かいにある部屋に来てもらいたい。」


これで講習は終わり。

次はいよいよ、魔法適正の確認だ。

私はどんな魔法使えるかな?

講堂に来た順番ってことは私は最後か。

そわそわしながらその時を待つ。

職員の人が名前を呼ばれた順に部屋を出ていく。

そして、いよいよ私の番。

名前が呼ばれ、部屋を移動する。

呼び出された部屋に入ると、こじんまりとした台が1つポツンと置いてあるだけの殺風景な部屋だ。

台の傍には、先程講習を行ってくれたガイエンさんが立っている。


「失礼します。」


「アリス・ニールか、台の前に立つがいい。」


言われた通りに台の前に立つ。

不思議な模様が表面に彫られている。


「方陣の中央に手を置け。後は、勝手にその方陣がやってくれる。」


「分かりました。」


どんな結果が出るかドキドキしながら、方陣の上に右手を置く。

すると、台に彫られた方陣が淡い光を放ち始め、身体の中から何か力の流れの様なものを感じる。

その不思議な力が右手から台へと流れているようだ。

台から放たれる光は徐々に範囲を広げていく。

台の表面から台の脚を伝うように、部屋一面にまで広がっていった。

やがて、光は様々な色に変化しながら、強さを増していく。

赤、青、黄、緑、白と多種多様。

プリズムのように変わる光はとても美しい。

その光景に、結構感動してしまった。


「やはり、リグの娘だな。とてつもない力を秘めている。」


顎に手をあて、ガイエンさんは呟く。

その言葉に驚いて思わず手を離し、ガイエンさんを見てしまう。


「お母さんの事、知ってるの?」


「うむ。あいつとは昔、共に旅をした。ロムの奴もいたな。」


私の質問に鷹揚に頷きながら、返答してくれる。

お母さんだけじゃなく、お父さんの事も知ってるなんて。

しかも、一緒に旅したとは。

冒険者をやってるときの、お父さんとお母さんはどんな感じだったんだろう?

ちょっと色々聞いてみたい。


「あの、両親って冒険者をやってる時ってどんな風だったんですか?」


「・・・優秀な冒険者だったな。しかし、高い適性を持っているな。水、風、聖の属性と高い素養を持っている。特に風属性は別格だな。」


あまり、両親の話はしたくなさそうで、それをはぐらかすように魔法の素養誉めてくれる。

とはいえ、手放しに誉めてくれると、ちょっと照れるね。

でも、素養があるのは分かったけど、どうやって使うのかな?

わからない事は素直に尋ねるべきだと思い、


「魔法ってどうやって使うんですか?」


そう尋ねると、


「俺は、魔法は使えないことはないが、からっきしでな。お前の兄貴にでも聞くといい。最近は、ほとんど活動してないとはいえ、アレはいい魔法使いだ。」


と、返答されてしまう。


「それよりも、この後は模擬戦闘だ。準備をして練習場に向かえ。」


それだけつげると、ガイエンさんは部屋から去ってしまう。

なんとも言えない気持ちになりながら私も部屋を去ることにした。

ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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