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冒険者として

それから、3ヶ月たった。

その間、冒険者として依頼をこなす。

その際は、いつもナイトが付いてくる。

本当に騎士のつもりでいたりして。

気づけば、カードの横に書かれた文字はDランクに変わっていた。


さらに、魔法を身に付けるべく、勉強を始めた。

お兄ちゃんに渡された一冊目の魔導書を読み上げると、続きとばかりにもう一冊、それも読み上げるとまたもう一冊と、魔導書を渡される。


「入門編、初級編んで中級編と来れば続きがあるのは当たり前の話だよな。」


「まだあるの?」


「当然、上級編もあるな。それはおいおいでいいかもしれんが、中級編までは必修だな。読み上げるまではいったから、後はちゃんと魔法を習熟する事と、冒険者ランクをCランクまで上げること。ついでに言うなら、サラから剣の手ほどきを受けるのを続ける事も大事だな。」


「うへぇー。」


「まぁ、そこまでいけば一端の冒険者になったと認めてやるよ。そこまでは、しばらく家で大人しくしておけ。」


「むぅ、わかった。」


私の事を心配して言ってくれている事は分かるので、素直に頷く。


「今のペースでやっていけば、そんなに時間はかからんだろ。思いの外、魔法の扱いも上手いこといってるしな。」


「確かに最近、上手く使えるようになってきた気がするよ。呪文とか結構覚えてきたし。」


「とはいえ油断は禁物だ。自称中級者ほどたちの悪いものは無いからな。」


「うん、わかったよ。」


そんな会話をすると、ギルドに向かうことにする。

毎日のように通る、通い慣れた道だ。

いつの間にか、現れたナイトも横を歩く。

最近、家に居るときは気付くと姿が見えなくなることが多い。

でも、外に出る時、特にギルドへ向かう時はいつの間にか現れる。

一体どこで何やってるのかな?


相変わらず身体は小さい。

そんな早く大きくなるとは、思ってはいないけど。

おいでとばかりに手を差し出すと、それを伝って外に行くときの定位置になっているフードにスポリ。


途中、いつも寄るお店でパンを買うと、歩みを進める。


今日はどんな依頼を受けようか?

そんなことを考えながら、ギルドの建物に着くと、依頼票の貼られたボードとにらめっこ。

採集依頼や、提供された材料を用いての調合依頼。

納品依頼もあれば、もちろん討伐依頼のような魔物と戦うような危険度が高い物もある。


やはりというか、私の受けるの中心は採集依頼が多い。

でも最近は、討伐依頼も受けるようにしている。

これは、サラさんから勧められたからだ。

修練も大事だが、実戦で得られるものもまた大事ということのようだ。

あまり一人では受けないよう、にとの忠告もあって、たまにしか依頼を受けることはない。


「よう、嬢ちゃん。今日は何を受けるんだ?」


さて、どうしようかな、と悩んでいると話しかけてくる男性。

筋肉で盛り上がった巨躯と、干上がった頭。

経験と実績に裏打ちされた自信が、体から漲らんばかりに溢れる。

彼は、この街でも上位ランクに位置するパーティーに所属するレギンさんだ。


討伐依頼を受けるとき、ちょこちょこ助けてもらっていたりする。

どうも依頼初日に、私がカウンターに積み上げた薬草の山を見ていたとのこと。

その様子が印象に残っていたようで、なかなか面白いのが来たと思っていたらしい。


「それで、どうするんだ。俺たちはこれから適当に討伐依頼を受けてくるが、嬢ちゃんも一緒に来るか?」


「何の討伐に行くんですか?」


「そうだな。今日はウェアラット、ハイウルフ、ラビットホーンとかその辺りか?最近、森から出てくる個体が多いようでな。どれだけ倒しても依頼が下がることはないな。」


「そうなんだー。うん、一緒に行くよ。」


まだどの依頼を受けるか決めてなかったから、丁度良いよ。


「そうか。そうと決まれば、カウンターに行くか。よろしく頼む。」


そう言うと、ニカッと笑う。

まだ、Dランクの私は直接依頼カウンターに並ばなくてもいいので、必然的に依頼の受注をやらされる。

リフィさんには、


「利用されるみたいで大変ね。」


と言われるが、私としても戦闘経験が積めるし、ギブアンドテイクといったところで、不満は無い。

嬢ちゃんとは呼ぶが、ちゃんと一人前として扱ってくれるし。


「気を付けてね。最近は本当に魔物の発生が多いから。」


心配してくれるリフィさん。

冒険者ギルドとしても、今の状況はあまり良くないと思っているみたい。

そんなに魔物が増えてるんだね。


確かに、採集依頼を受けた際、魔物との遭遇率が上がっている気がする。

冒険者という仕事をしている以上、儲け時と考える人もいるけど、総じて危機感を感じている人のほうが多い。


何はともあれ、依頼の受注を済ませるとレギンさん達が歓談しているテーブルへと向かう。

ギルドのメインフロア内、依頼票の貼られたボードの反対側には、数多くのテーブルが置かれており、誰でも自由に使えるようになっている。


「ご苦労さん。どうだった。」


「無事に依頼受けれましたよ。」


「そうか。んじゃ行くか。」


レギンさんが言うと、一斉に立ち上がる面々。

彼らは、レギンさんと同じパーティーの人達だ。

皆とてもよくしてくれる。

上位ランクのパーティーとしての責任感からか、それとも単純に好い人なだけなのか。


私は、彼らと魔物の討伐に向かうのだった。

ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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