表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/32

依頼の報告

そういえば、結局昼食を家でとり損ねたということを出てすぐに気付いた。

流石にお腹が空いた訳で、取り敢えず何か買い食いをしようと、朝と同じくパンでも買うことにした。

とはいえ、もうお昼時から大分過ぎてしまった。

あまり、いいものは売り切れてしまってるかもなぁ。

そんなことを考えながら道を歩く。


依頼の完了の報告以外、後は特にやることはない。

夜まで待機して、作戦実行。

そして、見事勝利を勝ち取る。

そのためにも、早く報告を終わらせてダラダラしよう。


ふと、視線を感じる。

しかも、下の方から。

目を向けると、「ニャー」と鳴くのは、部屋に寝かしてきた子猫だった。


なんでここに?


しゃがむと、ピョンと跳ぶようにして私の肩に乗り、そのままフードにスッポリと入りこむ。

よほどフードの中が気に入ったのだろうか?

何やら嬉しそうにゴロゴロと鳴いている。


その後適当にパンを購入すると、もさもさ食べながら移動する。

私が、パンを食べているのに気付いたのか、フードから顔を出すので、何となくちぎってあげてみると、喜んで食べていた。

猫ってパン食べるの?




ギルドに着くと、そのままリフィさんの所へ。

彼女は、ニコリと頬笑む。


「依頼の方はどうですか?」


「ええ、集めてきたんで見てもらえます?」


「えっ、もう終わったんですか?にしては手ぶらですけど・・・」


何も持たずにやって来た私を、不思議そうな顔で

見つめてくる。

腰に着けた魔法の袋を取り出すと、どうやら得心いったらしい。


「魔法の袋なんて持ってたんですね。」


「ええ、採集した薬草はここのカウンターに出せばいいですか?」


「はい、お願いします。」


そうリフィさんが言うので、私は袋を逆さにして、薬草のみを出す。

ドサドサと落ちていき、カウンターは薬草の山になった。

驚いた顔をするリフィさん。

だけじゃない。

例によって、他のカウンターに並んでいる冒険者の面々が何やらドヨドヨとしている。

後ろを見ると、


「なんだあの量!」


「あれ全部薬草か?」


「あそこで報告してるってことは、駆け出しだろ?詐欺じゃん。」


といった声が聞こえてくる。

そんなにすごい量かな?

家の手伝いで薬草集めるとすると、この量じゃまだまだ足りないって言われる程度なんだけど・・・


「で、リフィさん。これで依頼は達成って事でいいですか?」


「ええ、十分過ぎる量だわ。ちょっと待ってて。たまに毒草を間違って採集してしまう人もいるから確認しないと。」


そう言って、何やら呪文を唱え始めるリフィさん。

唱え終わると、目がうっすらと光を帯びる。

そして、山になった薬草を1つずつ椅子の横に落としていく。

覗くと箱が置いてあり、そこに落としているようだ。

しばらくかかりそうだったから、フードを引いて中を覗く。

どうやらお休みの様子で、気持ち良さそうに眠っている。

やがて全ての薬草を箱に落とし入れ終わると、光が消え、いつも通りのリフィさんの目に戻る。


「凄いわね、全部ちゃんと薬草よ。」


「一応、ここに来る前に家で仕分けてきましたから。で、今何してたんですか?何か目が光ってたけど。」


「ああ、鑑定の魔法を使ったのよ。確実に仕分けることができるから。」


こんなとこにも魔法!

鑑定の魔法とか使い勝手良さそう。

そう思っていた私の考えが何となく読めたのか、


「でも燃費が悪いのよ、この魔法。意識を散らすとすぐに解けちゃうし。」


「へー、でも凄い!」


「そうかしら。そんなに誉められると照れるわね。」


そう言いながらも満更でもなさそうだ。


「それで、薬草が十本で一束として78束ね。一束銅貨20枚だから銀貨15枚と銅貨60枚ね。カードを出してもらえますか?」


カードを渡すと、朝のようにカウンターに据えられていた小さな装置にカードを差しこみ、操作する。

その後、カウンターの下をゴソゴソするとお金を準備し、カードと共に渡してくれる。


「今日はお疲れ様。これが今日の報酬になります。これで、カードの方に今のランクが表示されましたよ。」


「ありがとうございます。」


「それでどうでした?初めての依頼は。」


「んー、以外と大変かなって。採集事態はそんなに大変じゃないけど、魔物と戦闘になったときはドキドキしちゃった。何とか倒せたけど。」


私の一言で少し目の色が変わるリフィさん。


「魔物と戦ったんですか?それはどこで?どんな魔物でした?」


「あー、北の街道から少しそれたとこにある草原ですよ。模擬戦闘で戦ったウェアラットより大きかったかな。」


「あぁ、あの辺りですか。でも模擬戦闘より大きなウェアラット・・・それで倒したウェアラットはどうしたんです?」


「そのままにして帰ってきちゃったけど、何かまずかったですか?」


「いえ・・・それはそれほど問題にはならないんですけど、持ち帰ってきてれば薬草採集より報酬がでましたよ。」


ガーン!!

それは考えが及ばなかった。

あのときは考えもつかなかった。

ガックリする私。

いつの間にか起きたのか、わたしを慰めるかのように、子猫が私の頭をペシペシ叩くのだった。

ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ