帰宅して
さて、冒険者の登録から講習まで終わらせた私は家に帰ってきた。
まだ、お昼になったばかりだ。
ちょっとお腹が空いた。
「ただいま~。」
特になにも気にすることなく、商店の入口から家に入る。
何人かお客さんがいたようだ。
皆、顔を見たことがある。
いわゆる、常連さんだね。
「おかえり。」とか、「今日も元気だね。」と声をかけてもらう。
お爺ちゃんと、何人か働きに来ている人らで対応しているようだ。
お兄ちゃんの姿が見えない。
多分先に昼食をとっているんだろう。
さすがに、責任者であるお爺ちゃんとお兄ちゃんの二人が、同時にいなくなるのは避けたんだろう。
もっとも、裏で昼食とるだけならいい気もするけど。
居間へ行くと、予想通りお兄ちゃんがサラさんと二人で昼食をとっていた。
これは、丁度いい。
魔法についてちょっと聞いてみたい。
「ただいま~。」
「んぁ?おかえり。」
「アリスちゃん、おかえりなさい。」
二人に声をかける。
お兄ちゃんは、私の顔を見るなり、
「無事に登録はできたか?」
と質問してくる。
きっと気にしてくれてたんだろう。
「もちろん。ちゃんと登録できたよ。初心者講習ってのも一緒に受けてきちゃった。」
「ほぉ~。」
「ということは、模擬戦闘もやったのね。大丈夫だった?」
「うん、バッチリ。サラさんに色々教えてもらってたから、うまくこなせたよ。」
「そう、よかったわ。」
「ま、初めてにしては上出来か?」
サラさんは、安心したような表情を見せる。
お兄ちゃんは、微妙に毒を吐いてくる。
軽い皮肉や悪態のようなものをぶつけてくるのは何時ものことだから、全然気にならないけど。
「それでね。魔法の適性もみてもらったんだけど、結構素質あるんだって。でも、どうやって魔法なんて使うのかよくわかんないよ。」
「ふーん。で適性の高い属性はなんだって?」
「えーっと、水と風と聖の属性だって。特に風属性が高いって。」
「そうなの?適性の高い属性が3つもあるなんて凄いわね。」
何か考える風のお兄ちゃんと、手放しで誉めてくれるサラさん。
「それでね、今日はひとまず帰って休んで、以来は明日からにしなさいって事だったから、帰ってきちゃった。」
「俺は、お前の事だから、忠告されてたとしても何らかの依頼受けてくるかと思ってたわ。」
「うーん、それも考えないでは無かったんだけどね。下手に依頼受けて、帰るの遅くなるのも嫌だったから。」
「そうか。まぁ、食事でもしたら、今日はのんびりするといい。俺はそろそろ仕事に戻る。サラ、今日も美味しかった。」
そう言って、お兄ちゃんは席を立とうとする。
わー、行っちゃう。
「お兄ちゃん、ちょっとまって。」
慌てて、お兄ちゃんを制止させる。
「ん?何だ?」
私は本題を切り出す。
「魔法の使い方、教えてほしいんだけど。」
「いや、午後も仕事だしそんな暇ないぞ。その辺の事はギルドじゃ教えてくれなんだのか?」
「ガイエンさんっていうギルドの支部長が、魔法ならお兄ちゃんに聞けって。」
その言葉を聞いて、お兄ちゃんは舌打ちをして顔をしかめる。
「あのクソ親父、面倒だと思ってこっちに振りやがったな。」
「えっ、どういう事?自分は魔法はからっきしだから家で教わった方がいいって言ってたよ。」
「そりゃ嘘だ。あのオッサン宮廷付きよりよっぽど強い魔法使いたぞ。お前、あのオッサンの見た目に騙されたか。」
確かに凄くガタイのいい人だった。
前衛で、斧とか降ってるのがピッタリな感じの人。
どう見たって、魔法使いのイメージなんか湧かないよ。
「見た目ただの脳筋にしか見えないしな。ありゃ、いうなら魔法戦士みたいなもんか。昔は、敵陣に突っ込んで長剣振り回しながら、魔法打っ放すみたいな事やってたらしいしな。」
そんなの想像つかないよー。
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