No.9 変化
No.9 変化
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「なあ、腹が立ってきたよ。誰か相手してくれないかな」
蓮の呟きに答えたのは、後ろから飛びかかった
claw monkeyの一匹だった。
「キエエエエエエエアッ‼︎」
「おう、よろしく頼む」
裏拳で顔面を打ち捉えると、ソレは二度と起き上がらなかった。
_____________蓮は目の前の光景に違和感を感じていた。自分を囲む本来単独かつバラバラに動くはずの霊長類型の敵達は、今日はあまりに統率が取れすぎている。_______まるで、[操られている]かのように______________
「さて」
_____柄に手を掛け、目に狂気と闘志が入り混じる。
「準備体操をしようか」
腰を落とし、鞘を後ろに飛ばす_______
刹那、飛びかかった爪猿の一匹の首が刈り取られる。
_____前屈みに腰を落とし、手首を唸らせ返す刃でもう一匹を打ち据える。
______限界、か。_________
____居合の技、すなわち抜き放ちざまの[勢い]で[斬る]のは、二度が限界とされている。この二撃で倒せなかった相手は、普通の剣技で戦うほかない______
残った爪猿が怯んだように後ずさる。
「.........」
______やっぱりおかしい_________
蓮の経験上、人式などは除き、
idolaはほとんどの場合[相手を殺すことしか考えない]、はずである。どれだけダメージを与えようと、ゴリ押しで襲いかかる。逆に言えば、[取り逃がすことがない]。だが今目の前にいる敵は明らかに蓮の攻撃を[畏怖]____あるいは[警戒]している。
________そのまた逆に言えば、[牽制がきく]、ということである。
_____刀を前に突き出すと、爪猿達は後ろに後ずさる。
____これは使えるな______
牽制はもういい。ここで攻めにかかる。
地を蹴り、横薙ぎをかけ________
______DANGER!!!_______
爪猿と蓮を割って入るように、刃が突き刺さる_____
_____それは赤く点滅していた。
踏み込みにブレーキをかけ、そのまま後ろへ飛び退がる。
__轟音と共に爆風が蓮を襲い、耐えきれず転倒する。
「...........」
煙の中から、人影が現れる。
_____ガスマスクに、防具服。無言のまま、蓮に向かって歩き続ける。
「お出ましか、黒幕さんよ」
蓮は姿勢を立て直し、男と向き合う。
その距離、15m程_______
おもむろに男がハンドガンを右手に構える。
______体幹を捻り、銃弾を目で追う。
2,3発目を躱すと、地を蹴り、刀を唸らせる。
間合いを詰め、右手で斜めに斬り下ろすが、
男は合わせるように躱す。
_____と同時に左手で柄を迎えに行き、両手で横薙ぎをかけた
_________と、男が右手でガードの姿勢を取る。
_____不可能である。素手ならば______
金属がぶつかり合い、鈍い音が鳴り響く。と、男が左手を振る。
______前蹴りで押し返すと同時に、蓮の顔面その紙一重を並ぶ3つの刃が通り抜ける。
_____鉤爪⁉︎_______
腕を振った反動で男が背を見せたところに刀を打ち込むが、両手を背後で交差させ止められる。
と、駒のように回転し、足を鉤爪で掻こうとする。
蓮は跳躍し空中で一回転し着地すると同時に振り返ると同時に迫る鉤爪を刀で止め、小刀を抜き放ちざまに止めた相手の右手を跳ね上げ、
______空いた脇腹に、横蹴りを入れる。
男が抱え込むように後ずさる。
「.................」
男が見上げた先には、蓮が躍りかかる姿があった。
to be continued..............