No.4 闇夜の邂逅 (中編)
No.4 闇夜の邂逅 (中編)
駆ける___駆ける。路地裏を駆ける。右に曲がると大きなゴミ入れが見え______手をつき、後ろに押す動作で上をスライディングし、着地と同時に音もなく前転する。顔にぶつかる冷たい空気は、刀を提げた少年_________ 黒野 蓮の思考を鋭く研ぎ澄ませていた。
_____さっき倒した部隊____制服からしてEAGLE第3支部の追跡部隊か。通信機から聴いたことからするとチームにはギリシャ文字(α、β、γ、δ、ε)が使われているつまり_____4,5チームいる。
先程潰した部隊がどの文字のチームかは知らないしこの際どうでもい (訂正:分からなくても支障な)いが、少なくとも2部隊____αとδが残っている。
___奴らを見る限り電撃槍と短機関銃が主_____あまりに軽装すぎる。恐らく奴らは何も知らないだろうが、まだ[何か]ある。あの計算だけは出来るお高い連中のことだから___ [脱走者捕獲任務]としか伝達されてないんだろう。_____つまり奴らは一般隊員に重兵器の情報を伏せてあり、いざとなれ隊員もろとも爆撃または何らかの生物兵器でもばらまくのか?そうだとしたら_______一箇所とは思えない。俺は最新型の改造人間____重戦車か装甲車_______完全包囲態勢を整えるように指示されているはず。狙撃部隊もどこかにいるかもしれない。迂闊に路地裏からは出られない_____絶対に今捕まるわけにはいかない。俺は、あいつの________
____突然、黒野の左の視界に[WARNING]の文字が映し出される。
______対idola改造人間は、片方の目に脳波とシンクロし自分の身体の一部として使用する戦況計測装置が埋め込まれており、暗い中でも半径最大100mの生命反応及び熱源、相手の持っている殺傷能力を持つ装備さえ特定する(その装置の影響で戦闘時に片方の目が赤く発光する)。
_____その半径100mのうち、殺傷能力を持つ相手が半径25m以内に確認された場合、警告が出されるシステムとなっていた_____
黒野は足を止めた所は、ちょうど路地裏の出口だった。頭の中の声で片目に質問をすると、視界にデータが映った。[10人編成の小隊、短機関銃と電撃槍を確認]
黒野は壁に背をつけ、息を殺した______
[αチームより全チームへ。現在移動中。先程からチームβからの連絡がない。何かあったのかもしれない。くれぐれも警戒されたし。こちらからは以上だ。]
_____逃げられない。戦うしかない。____先程の僅かな間に___5メートルしか進んでない____つまり見える路地裏全てに何らかの方法で探りを入れつつ動いている!___________路地裏で発見されれば狭い場所____不利な状況で抵抗または逃走しなければならない。リスクが大きすぎる!_____殺るしかない。
_____1.
振動刀の安全装置を外す。
______2.
深呼吸する。____落ち着け、落ち着け____
_______________3!!!.
_____街を歩くように。静かに歩け。むやみに飛び出せば蜂の巣_____中央で____止まれ。
EAGLE追跡班が足を止める。
_____狙い通り。
[奴だッ‼︎足を撃てッ‼︎]
地を蹴り、抜刀する____と、同時に左手で何かを投げる。それは地面に突き刺さり_____
[____何だ?]
____遥か昔、手裏剣、またはクナイと呼ばれた、それに酷似した近代兵器。それは赤い点滅光と共に、無機質な音を発していた。
[_____退避しろッ‼︎]
隊長の指示に従い後退するが、手裏剣から閃光が放たれ、爆発を起こす。
爆風で体勢を崩され______
_____悪いな、だが仕方が無いッ
[ショックスピアを使えッ‼︎]
後方で待機していた電撃槍装備隊が4人、槍の先に電流をほとばしらせ突撃する。
____最初の1人の突きを峰で逸らし、袈裟懸けをかける。と、2人目が突きおろしをかける。
____が、左手で槍を掴まれ、刀で串刺しとなる。
_____俺を捕まえたいなら、パワードスーツか、同じ改造人間を持ってくるべきだったのさ。__
黒野は相手を蹴り抜き、反動に耐える。
_____[あそこだ!]
黒野の背後から、別の部隊が迫る。
[ハンドガンを使えッ‼︎]
隊員達が狙いを定め、発砲____
_____黒野は体幹を捻り、顔に向かってきていた銃弾を目で追う。
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[当たってない......!?]
チームδ所属_____萩原 龍司は驚愕していた。
少年は次々と迫る銃弾を、踊るように躱している。
[新人ッ‼︎前に出ろッ‼︎]
萩原は振動ナイフをは右手に少年に肉薄する。
間合いに入り、右から斬りつけた____が、止められる_____
_____のは想定内‼︎
左足払いで両足を払う。
そこで手首を決め
_____直後、萩原の視界は唐突に跳ね上げられた。
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黒野は迫るコンバットナイフを刀で受け止めながらほんの十秒前に頭の中で叫んだ言葉を思い出していた。
______まさか本気で改造人間を投入してるなんてな_______
その刹那、相手は右膝を下げ、左足を右に大きく突き出す。反射神経が伝える警告に従い、跳躍し、上段蹴り上げを極める。
_____踵で押し込む動作____柔道か_____
刹那、黒野の左目の赤い光が強くなる____
相手がよろめき生まれた隙を突いて横蹴りで相手を吹っ飛ばすと、___元はファッションショップだったのか、大きく半壊しながらもなんとか形を保っていた張りガラスを突き破り、吸い込まれるように見えなくなってしまった。
[.........これでもか?]
残された隊員達に視線を移し_____
もはや殺意と区別のつかぬモノが籠った目で淡々と一言のみ述べた。
[______怯むなッ!!撃ち方はじめェェェッ!!]
to be continued........