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No.15 酒場にて

3話連続投稿のため、書き溜めに挑戦しておりました


......1.5話分しか!書けませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

No.15 酒場にて

______________________________________

「...一人で来るなんて珍しいですね」

歳は二十程に見える男は、カウンターテーブルの向かいの人物にようやく話しかけた。

「......いつもの」

顔を上げた少女_____白木 由梨はそれへの答えの代わりにつぶやく。

「かしこまりました」

男は後ろの棚に探りを入れ、[CLYNELISH(クライヌリッシュ)]と書かれた瓶を取り、グラスに注ぐ。

「ありがと」

そう言うと、由梨はグラスの3分の1を一気に煽った。

_______普段は付き添いで仕方なくもまんざらでもなし、といった風で通ってくるはずの少女(ゆり)が、今日はたった1人で訪れ、いつもの微笑み1つない。このクールな少女を引っ張ってくるのは、彼女とは対照的な活発さをまとう少女である。そう、[BALBLAIR(バルブレア)]を愛飲していた、確か名前は_____

「.........一条さんは?」

突然、グラスが叩きつけられる。

______まずい、タブーに触れてしまったか。[あの時]以前、師匠(マスター)のもとで酒の勉強をしていたころから、この男は「注意力が足りない」と諭されていた。その上、「酔っている相手に対しては尚更」と釘を刺されていたことも今になって思い出す。

「......何してんの、おかわりってば」

顔を庇った手から覗くと、少女(ゆり)は拍子抜けた顔をしている。どうやら、飲み干したから置いただけのつもりだったらしい。大きな音を出したことに気付かないのも、わずかに酔いが回ってきているだけということか。

「か、かしこまりました」

こっそりと深呼吸を二、三度行うと、先程と寸分違わぬ動きでクライヌリッシュをグラスに注ぐ。と、由梨は再びグラスの3分の1を煽る。

「......春は、隊員病棟で療養中。って言ってもどんぶり三杯食べるくらいには元気なんだけど」

そう言うと、由梨はグラスの残りを一気に流し込んだ。

_______________________________________

三回ほど繰り返された撤退指令を受けながらも、由梨は目の前の少年へと向ける刀を納めようとはしなかった。

「......上の言葉無視していいのか」

口調に余裕はあるものの、少年も構えを外さず、目に宿る敵意は衰えない。

「寝言は(永遠に)おねんねしてから言ったら?まだハルの借りは返してないのよ...!.」

「ハル?......ああ、あいつなら......」

と、三度(みたび)通信機が鳴る。

「ヘリβからcodeWhiteへ。一条一等兵の無事を確認した。繰り返す。一条一等兵は無事だ」

「......殺せなかった。バッテリーが惜しくてな」

少年はそう言い自らの振動刀を掲げた。

見ると、振動を止める安全装置がONになっている。

「もう戦う理由も無いだろう。決着はまた今度つけようか」

お互い生きてたらな、と付け加えると少年は刀を納め、踵を返した。

「待って」

少年は振り向かぬまま立ち止まる。

「あの有様は何なのよ?あのマスク野郎はどちら様よ?」

「こっちが聞きたいぐらいだ」

少年はしれっと即答する。

「俺は一般人だ。ちょっと探し物してただけのな」

「一般人?その服でよく言うわ」

由梨は少年の防護服を指さした。

「[強化兵士専用軽甲冑]......旧式だけど、ロゴは私のと同じデザインよね」

少年は何も振り返りもせず、黙っている。

「......そして、1週間前に発見された死体の着ていたものとも。......仲間を殺したのね。裏切り者」

「......どっちがかな」

振り返った少年の瞳には______憎悪の色が渦巻いていた。

________________________________________

由梨の頭からあの出来事の全てが離れなかった。異様に統率の取れた敵。それを操っていたと思われる男。男の着ていた防護服。そして、EAGLEを憎む黒刀の少年。それらへの推理憶測が脳に貼り付いて離れない。あの作戦からもう3日も経つが、ティータイムの珈琲の味すら入ってこない。今日、訓練終わりに春の見舞いに行って暗くなるまで少女談話(ガールズトーク)を繰り広げる間はマシだったが、いざ部屋に帰ってベッドに飛び込むと脳内スピーカーが探偵の真似をし始める始末だった。そこで明日休暇を取ったのを良いことに遅くに地下娯楽街に繰り出し、(ハル)に何度も付き合わされたBARに酔い潰れに行くことに決めたのだった。

「もぉいっばぁい」

四杯目でようやく呂律が狂ってきた。無駄に強い自らの酒への耐性を少し憎たらしく思いながらも、もう少しだとばかりに一気にグラスの中身を煽る。

_____由梨はウイスキーの苦味とも辛味とも取れる味わいが気に入っていた。そして「深く静かに余韻が残る」と評されるクライヌリッシュが一番舌に合った。が、そんなことはどうでもよくなり始める。

「白木さん、飲み過ぎです。いくら強くても吐きますよ」

優しくたしなめてくれる店主には感謝したいところだが、今はそれどころではない。

無視して五杯目を自分で注ごうとすると、段々意識が揺らめき始めた。

______来た、来たぁ.....________

今更ながらここで潰れると迷惑ではないかと思えたが、もう立つことすら出来ない。由梨は自分の重ねた手に身を委ねることにした。



to be continued.........






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