花吐き病後編
後編です
...え?
目の前の同じ学校のマスク少年は爆弾発言をした。
「え?何で...私のユーザー名知ってるんですか...?」
「俺が小雨だから」
「本当ですか?正直ちょと...」
頑張ってマスクの下で喋るが花弁が溜まり過ぎて溢れそう。
「あの、ちょっと気持ち悪」
「俺もな...花吐き病なんだ」
マスクを外すと白や薄い黄色の花弁がバサリと落ち、開けられた口からはらはらと花弁が落ちて行く。
「ぐるの見せて。多分ぐるのも類似してるのだと思うんだ」
類似とはどういう意味なのか。詳しくはわからないが聞かなかった。
マスターを信用してるから。
マスクを外すと先程のマスターと同じ様にバサリと花弁が落ちる。黄色くやや細長い花弁。
私が吐いた花弁を摘み上げる。
「黄色い百合...やっぱり類似してるな」
「あ、あのなにが言いたい」
そこから先の言葉は出てこなかった。
だって...
私の吐いたそれを口に運んでいたから。
「え?うえええ!?何してんですか!?マスター!?」
「...治った。やっぱり似た者同士だね」
「......はい...?」
うん、私に理解は難しい。
「食べて。治るはずだから」
「後で詳しく説明してくれますよね?」
「勿論」
鬼灯の花弁を摘み上げ口へ入れる。甘くなく、苦くなくそれでいて辛くもなく酸っぱくもなく...無味。良くわかった気がする。
「治ったでしょ?」
息苦しくない。
「治ってる...?」
「だろ?普通は片思いを拗らせてなるらしいんだけど...俺は偽り過ぎてなんだよ」
「偽る...じゃあ、私も?」
「だろうな。んで、もしかしたら再発する可能性もある。だから俺と付き合ってくれ」
「マスターの現実知ったばかりですよ?」
「まだ好きにならなくて良いよ。はじめは利用するされるの関係で、その内惚れさせるから」
「え...あ、うあ?」
理解が追いつかずろれつが回らない。
「ぐるの事好きだよ。それに凜の事もね」
読んでくださってありがとうございます。
因みにぐるちゃんが吐いていたのは『ユリ(黄色)』で、意味は『偽り』です。
小雨マスターは『鬼灯』で『偽り』、『ごまかし』です。
最後の方にさらりと臭い事を言ったのは『カーネーション(白)』を使いたかったからです。花言葉は『純粋な愛』です。
次話から元に戻ります。