ああ、そうか私はあんな奴が好きなのか...
ああ、馬鹿だなぁ私。今更気が付いても遅いのに...
***
私には幼稚園からの幼馴染がいる。格好良くはない...と、思う。
まあ、悪魔で思うだけなんだけど。
まあ、素直じゃないっていうのもあるんだけど。
とりあえずそんなに男子として、ましてや異性として意識した事はないんだ。
では、自分の気持ちに気が付いたのはいつぐらいだったのか?ゆっくり回想していこうかな。
小学校まではすっ飛ばすね。幼馴染でありながら話す機会は両手で足りるくらいだったからね。
そもそも幼馴染といえど家が隣同士ではないし、近所ですらないのだから幼馴染と言えるか冴え怪しい。
そんなものだったのだ。
その程度のものだったのだ。
転機が来たのは中学のときに入った部活で雑談をしていたとき。
この年頃の女の子は誰かの恋話を聞いてキャッキャする可愛らしい時期だ。
私には特に好きな人などいなかったのだけど...興味すらなかったのだけど...
「みーちゃんは幼馴染君でしょ?」
..................はい?
わかるだろうかこの気持ちが。特に興味のない話なのだけど、唐突に話を振られた挙句友達の口から幼馴染の名前が出るのだ。
意味が良くわからない。だけど何となく否定したくなった。
「いや、意味わかんないよ。てか、何でよりによってアイツなの?他にも人はいっぱいいるよ?」
「...顔真っ赤で言われても説得力ないし、可愛いだけだよ?」
私の全力の否定は可愛いかったらしい。解せぬ。
「あ、でも幼馴染なのに名前で呼ばないんだね」
多分思った事がそのまま口に出ただけだろう。しかし、困った事に私は変な所に強がりらしく...
「な、名前で呼ぶ時だってあるよ!たまにだけど...」
「へーそうなんだーふーん」
ニヤニヤと効果音がこれほど似合う人にはもう空前絶後ないだろうと確信した。
何故私は変な事言ったし...だが、もう後の祭りである。
別に男子を名前で呼ぶなんて大した事ないだろう。しかし、男子勝りの脳であった私は大きな間違いをしていた。
実際に名前で呼ぼうとすると口は乾くし、鼓胴は速く、挙句の果てにはりんご病の様に顔が火照るのだ。
何故だ!この時には既に遅く部活の友達の策略にはまっていたのだけど、後の祭りだ。
まあ、多大なる練習の上名前で呼べる様になったから吉なんだろう。
名前を呼ぶだけで照れるとかって自虐的に考えるけどその度に幼馴染を思い出して頬が緩むあたり私は重症だろうなぁ。
その後カクカクシカジカ色々あって幼馴染は彼氏になった。
付き合い始めてから思う事がある。
いや、付き合い始めたからなのか?
彼は恥ずかし事をさらりと言うのだ。意識してしまった私には火に油を注ぐ様なもので以前にも増して恥ずかしい。
その原因は彼なのかはたまた私が意識してしまってるからなのか...
どちらにしても恥ずかしくて考えたくない。
はい、今回の話では主人公の初めて恋に気がつく。というコンセプトで作りました。
なので今回の花は「ツツジ(白)」です。
意味は『初恋』です。
白い花が続いたので、次話では違う色の花にしてみようかなと思います。