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5.へんしん☆乙女オオカミ



お風呂はダメだとレンハルトさんに断られました。あ、レンハルト、レンハルト。ラインハルトでもレインハルトでもなく、レンハルト。


お風呂ダメなのは……セクハラだから?


毛を乾かすことを口実にもふりまくろうとした下心がスケスケだった?



「せくあ・ら? それは何のことだかわらないが……。主よ」


「はい」


「主がおそろしく奴隷に甘いのは理解した。今日一日でもう完全に」


「あ、あまいっすか、ねぇ?」


「甘い。ミルムの蜜漬けを丸齧りしたくらい甘い」


「そ、そうですか……(その譬えはわからないッ。気になるッ)」


「ものには限度がある。獣族を風呂に入れる主はいない」


「自分ちでも?」



こちらの世情はよくわからんけど食い下がってみた。だってブラッシングしたい。あのもふもふ。わたしも使うからとか言って粗めのクシも購入済みなのにムダにはせんぞ!



「ぅ……。そ、それなら、やるヤツも……そうではなく!」


「お風呂には入らない習慣、ということですか?」


「話をズラすんじゃない、主!」


「すみませーん(ずらしてないんだけどーふつーに聞いたんだけどー)」



チー力のおかげで、誤解による忠誠度アップを何回もさせてしまった手前、レンハルトさんには強く出られませんですハイ。だましてスミマセン。今こうしてちんまり謝ってるわたしが本性です。



「水浴びなら、する……」



わっほい!


わたしの目がキラキラ輝いたのは写メ撮られなくってもわかった。


洗わせてくれるんだよねくれるんだよねくれるんだよね!?



「……そんなに臭いか? まあ、臭いんだろうな。身体を洗うヒマなどなかったから……」


「くさくないくさくない。そうじゃなくて、くさいとかじゃなくて、よりいっそううつくしくしたいだけっ」


「うつく……いや、まあ……」



照れるオオカミ。ふはあ。ご馳走さまです。尻尾わっさわっさ揺らしてかわゆいったら。気もち抑えてるのか、ゆっくりだけど、確実に尻尾ふれてますぜダンナ!


いやだもう押し倒したい。押し倒して、もふ倒して、ぎゅーぎゅー抱っこしあいたい。そうよ、わたしを抱っこしてもよくってよ。もふもふさんならゆるしまーーーすっ。


……なんてね。レンハルトさんにも、っじゃない。レンハルトにも好みってもんがあらァな。主ってだけで敬愛してくれてんのに、それ以上の妙な真似はできんでごわす。



神様! わたし善き主になります! ぼんのうたいさーーーーん!



てかチートくれたのが神様だとしてもこの世界にトリップさせたことは許さないよ!よ!



なにはともあれ、お風呂は必須だ。野生動物でも水浴びはする。


なるべくいい笑顔でアドバイスごかしに言ってみる。



「レンハルトさんはかっこいいから是非みがくべきだと思うな!」


「……風呂は無理だろうが、裏庭かどこかの水場を借りればいいかもな。洗濯場あたりなら貸してもらえるだろう。夕方なら今日はもう使わないだろうし」


「よーし、やっちゃうよー! 交渉おまかせするから、頼むね、レンさん。あ。レン。わたしの魔術も利用できるかな。手札になりそうなら、何でもやるから使ってね」



腕まくって言ったら、レンさんに頭を撫でられた。ぽんぽんって。



「うちの主は、ほんとうに甘いなあ」






三軒目のお宿でOKをもらえた。しかも交換条件はとくになし。


裏庭で、洗濯用の大きなタライを借りて、レッツ湯浴みでございます。



炎が使えるなら、水も温っためられるんじゃないかって、手を浸して念じたら出来た。おかげで泡立ちもよく、どんどん汚れが落ちた。


しかもあれだ。チート発動。っていうか、これは新しい魔術か。


タライのお湯が汚れちゃうのがアレだなー汲んでくるのめんどいなーとか睨んでたら、身体の底で魔力がとっぷんと揺れて。


水面がぱあっと光ったと思ったら、タライのなかからぽこぽこと水が湧きあふれてきた。しかもぬるま湯。温泉か。なんかシュールな光景だったけど、幸い借りた水場は排水もしっかりしてて問題なさそうだし。


いっか!と素知らぬ顔して洗いつづけてたら。



……うん。


うんうんうんわかってるわかってるわかってる。


レンハルト、そんなに見なくていい。つか見るならハッキリ言いたまえ。甘い!!と。



……何も言われなかった。



だから諦めたよーに溜め息をつくのはやめたまえよ! まだたった二日のつきあいじゃないか! 諦めるには早すぎないかねえ、チミぃ!!






わたしの熟練のテクニックの前にレンハルトはあっけなく陥落した。



「……んっ。ある、じ……そこ、……そんなに、つよく……」



はい。宿のお部屋でブラッシングして乾かしてるだけですよ。ついでに軽く皮膚マッサージもしてますが、それだけです。みよしさんにしてたのと同じことしてるだけです。


こんな意味深なセリフを吐かれると、ひと聞き悪いんですが……。


今日のお宿は健全な宿ですし。隣のひととかに聞かれたらアレですよ。


ツボ押さえすぎたのかなー? ええー? たしかにみよしさんもたまにぴくぴくしてたけどー。あれ寝ぼけてただけよー?


たしかに思わず寝ちゃうくらいリラックスしてたわけだけど……ええー?



「……このくらい?」


「んっ……」



くび振られた。じゃあ、もっと弱く? またくび振られた。やめろとは言われなかったのに……ちっ。どうしろってんだよ!


あ。気もちよさそーに首をのべた。え。いま逆に強くしたよね?



「ぁ る じ……ぃ……」



これはあれだな。ねだられる前にやり倒した方がいいな。よし。






朝日奈エステティック担当みうの施術を受けてレンハルトは化けた。


おい……オイオイオイオイ……。


灰色じゃないじゃないかよ!! みよしさんに似てると思ってたのに!!



なにこの銀灰色の毛並みは!!! キラッキラじゃねーか!!



ああああああーーーーそういえばそーよねーーー思ったよねーーーふんどしが薄汚れてんなーって。あれがあれだけ汚れてんなら、毛並みだってね。そりゃ汚れてたでしょうよ。


セルフで毛づくろいもしないみたいだし……。ヒト型だと柔軟性とか体型的に無理があんだろうな。


いやいやいや。それどころじゃない。そうじゃない。


このキラッキラと輝く毛並みが……!!



「綺麗ねぇ」



はにかむオオカミこのおおおおおおおおかわいいいいいいいいい!!



「レンハルト……」



あ、いかん。両頬に手を添えてじっと見つめてしまつた。



「あるじ……」


「毛に銀が入ってるのね」


「ああ。成熟してる証拠だ。獣族ロウの、特徴のひとつ」


「そうなんだ。銀色わからなくてもかっこよかったけど、あると華やかになるね」


「気に入ってくれたか?」


「うん。……ああ、どうかな。みんなが見るのは気に喰わないな……」



……あれ。わたし何言ってんだ。



「あなたはわたしだけの獣僕でいいのに」



ちょ。待て。待てわたし。ああもう。ギルドのときと同じだ。口が勝手に。



「――主。大丈夫か」


「ええ」


「オレは貴女だけのものだ。……すまない」



なんかこのヒトよくわたしに謝るよね。



「こんなことになるなんて。まだ本調子でないのに、オレが魔力など強請ったから。あれは調節に失敗したんだな? でなくば、あんなに大量に授けるわけがない。ああ、すまない、主よ」


「失敗なんてしてないよ。いくらでも上げるって思っただけだもん」


「そん……いや。そうだな。主は甘い。獣族を甘やかしすぎる」


「そんなことないよ。ちゃんと怒るときは怒るよ」



わたしがそう言っても、レンハルトは鼻面にシワをよせている。浅く牙を剥きそうになってて、このオオカミ獣人の気質を知らずに見たら、威嚇されてんのかと思うところだ。実際には内心の焦燥がのぞいてるだけ。



「心を伴わず絆だけ深めてはいけない。そうか。こういうことなのか」


「なに?」


「今日、貴女はオレに魔力を授けた。主従の絆を深めてくれた。だが、あれは一時にすすめていい限度があるのだ、恐らくは。貴女はオレが強請るままにあたえてくれたから……。絆だけ深まりすぎて、心が追いついていないのだ、と思う」


「えっと? さっきギルドでなったみたいに、キレやすくなってるってこと? 箍が外れやすくなってる?」


「そうだ。貴女の方が詳しいと……ああ。記憶が無いのか。もしかして、オレが了解した以上に、深刻な喪失なのか……?」



うへっ。このヒト聡くて困るね。んあ。こまらないか別に。



「んー。たぶんそう。でも大丈夫! けっこう意識ちゃんとしてる」



ヤンデレっぽいにおいはするけど、レンハルトをなぶったり、お仕置きしちゃれとかは思わない。程度もわきまえてる。その証拠に、あの魔術師と三人の獣人をめっためたにはしなかった。チートだから出来たと思うのに。


綺麗になったレンハルトが注目されるのはヤダな、とは思った。それも普通の独占欲だ。見てる分にはいいけどお触りしてきたら叩きのめす、って思っただけだし。


一応、見てるだけなら何もしないって、常識は残ってる。


そんなこと思うなんて普通の頭じゃないなって自覚もあるんだよね。



「元からの性格なんだろうな」


「えっ。こんな凶悪なのが?」


「いや。っていうか凶悪なのか? そうじゃなくて……、箍が外れても殺さないところとか、気に喰わないくらいで済んでるところとか」


「……それ普通じゃない?」


「そう思うんだとしたら、やはり主は穏やかな性質なんだろう」


「そーかなー? わがままだよー?」


「せっかく忠実な獣僕がいるのだから、それは発揮すべき性質だな」



レンハルトさんはそう言ってわたしの髪を梳いた。でっかいお手ての太くて鋭い爪で。そうっと、そうっと。



「うっひっひっひっ。それでは今日買ってきたズボンを穿きたまえ。さっそく着てみせるのじゃ」


「……承知。着たら、夕飯を食べに行こう、主」


「うむ。よきにはからえ」



あ、ズボン穿けっても、すっぽんぽんだったわけじゃないからね? レンハルトさん、腰に布は巻いてたからね?


ぅっと。油断すると、ちょいちょいレンハルト「さん」に戻っちゃうな。気をつけねば……。






よく乾いてふかふかになった灰銀のレンハルトを連れて宿の食堂へ降りた。


宿の女将さんは彼の仕上がりを見て感心していた。体を洗うために水場を借りたい、と言った彼に「いいよ!」と笑顔で承諾してくれた人だ。印象がさらによくなった。



「あら、まあ。これは見栄えがするねえ」



見蕩れ気味に言われたのにイラッともしなかった。ふしぎなことに。


あの独占欲は一時的なもんかと思ったら、食堂にいた男のひとりが口笛を吹いて、しかもそいつがレンハルトの腰まわりに視線を向けてるのがわかったときには、盛大にイラッとした。


テメエの粗末なチ○コのなまがわはぐぞオラァア!!とばかりに睨みつけたら、口笛男はくるっとあっちを向いた。体ごと。


うぅん……男性をビビらせるようなガン飛ばせるとかこれもチートか。



「おや。アマツの油は使ってないのかい?」


「え――ああ、はい」



女将さんの問いかけに咄嗟に頷いたけど、アマツの油ってなんぞ? たしかに油は何も使ってない。話をつづけられないわたしにかわってレンハルトが答える。



「この街にくる途中で、荷物を失った。主がこのような身なりで辛抱しておられるのもそのためだ」


「まあ……、それは大変だったねえ。アマツの油なら買い置きがあるよ。前からうちを贔屓にしてくれてる魔術師さんが居るもんでな。少しなら分けてあげる。後で持っていくよ」


「それは助かる。ありがとう。しばらく逗留する予定なのだが、連泊も可能だろうか」


「ああ、大丈夫だよ。祭時でもないしね。ゆっくりしておくんな」



よかった。これで当座の寝床は決まった。次はお金を稼ぐ方法だなぁ。わたしの服がいくらになったか知らないけど、そんなのアテにしてらんないだろうし。


ありがたいことに晩ごはんは朝ごはんよりずっとおいしかった。


薄手のパンと、ハーブソルトっぽい味つけの焼いたお魚と、得体の知れない野菜かなにかの煮つけがどっちゃりと、雑多な具の入ったスープ。どの品も塩気とハーブの味付けでちと飽きる。


ここでもメニューはなく勝手に出てきた。お宿だもんな。旅館の食事もそんな感じだし。


泊まり以外の客にも対応は同じだった。たまにメインであろうお魚料理が違うものになってるくらいで。海老っぽいヤツに惹かれた。






夕飯のあと、お風呂に入った。共同風呂で、女性客はわたしだけ。最後にするかと思ってたんだけど、お先にどうぞと譲られた。レディファーストじゃなくて、魔術師様だから、らしい。


できるだけ急いで入って、順番をゆずってくれた男性客陣にお礼と世間話っぽいことしてたら、手持ちの品あれこれに魔力をちょっと入れてもらえないだろうか、とか遠慮がちに頼まれた。


魔力って道具にも入れられるのか。やったことない。壊さないかなー。



「主の魔力は純度が高すぎる……破損の危険があるぞ」



レンハルトさんが忠告してくれた。


男性客陣はむしろ顔をテカテカさせて鼻息ブッハー!! 牽制されたにもかかわらず!? なんだなんだ!?



「そ、それほどの魔力でしたら、是非この魔道具に!」


「この剣はどうだ。逸品だ。そう簡単には壊れぬと思うが」


「実はあらたに商品としようと思っていた羽衣がありましてこちらが大変な魔力量を必要としておりまして方々の魔術師様にお願いして歩いてる次第で」



魔道具オタの集まりかいなっ!?


ああそう。商人さんなのね。商売のために東奔西走してるのね。だから宿屋には商人さんが多いのね。


自分らここ来たばっかだから今後のおつきあいヨロシクってことで、5人いた泊まり客さん、一人一個ずつ魔力を入れてあげた。旅人に今後ヨロシクしてどうすんだって気もしたけども。



どうか壊しませんように。祈ってから、とりかかった。出されたものをざっと見て、一番どうでもよさそうな(失礼)携行ランプから。


チョロチョロ~ってイメージしてやったら、ほんとにチョロチョロと流れ出ていった。魔力。ズルゥって感じのあれだからニョロニョロとか。


ランプを満タンにするのは簡単だった。


魔道具と剣と羽衣は、手に持った瞬間「あ、イケる」ってわかったので思いっきり籠めてやった。ふう、スッキリ。ニョロチョロやった後だとドカンと行くのが気もちいいんだね、これ。発散。


魔道具と剣と羽衣の持ち主3人には涙目で感謝された。


満足の行く魔力をそそいでくれる魔術師がいなくて本当に困ってたらしい。


あんまり必死でお礼を言われて腰が引けた。なんか迫ってくるし。ヒゲ面ァアア。商人さんだからか、人あたりのいい雰囲気してんだけどさ。彫りの深い顔立ちだからまだ見慣れなくて。



「じゃ、じゃあ、今後とも、ごひいきに……」


「「「よろしくお願いします!! アサヒナ様ぁあああ!!!」」」



魔術師として個人的なお客さんがつくかもしれません。


この幸運もチートですか?






部屋に戻ると、レンハルトさんが若干ふきげんだった。



「レーンさーん」


「主は」


「はいな」


「……オレ以外にも、甘い……」



ああ、そういう。



「あのひとたちをお風呂に入れてあげたり、クシで梳いてあげたり、念入りに乾かしてあげたりしないよ?」



布でゴシゴシしたくらいじゃ乾かない毛並みに、思わず乾燥の魔術が使えるようになっちゃったくらい真剣にその身を案じておるのはレンハルトのみ。なんだけどなー。通じなーい? なにそれ片想ーい?



「乾かすくらいはするだろ。ずぶ濡れだったらさ」


「それはするかもね。でもそれはただの親切だよ」


「オレのことは?」


「好意でしているのです。レンハルト殿。あ、そーだ。アマツの油、塗っておこうよ。どうすればいい?」



宿泊客たちとの様子をうかがっていた女将が、部屋に戻るタイミングで渡してくれた。掌ほどの深めの小皿に入れられた油。


詳しくはわからないけど、魔術師が獣僕に使うものらしい。レンハルトも当然と受け止めてた。女将さんの口ぶりだと、身体に塗るんで間違いないだろう。


洗うと脂っけ抜けるから、適度に足せってことかな。さっき試しに手の甲に塗ってみたら、爽やかないい匂いがした。



「主がしてくれるのか?」


「うん。レンハルトのお世話は、わたしの趣味だから」


「……趣味……」


「そう。趣味すっごくだいじ。生き甲斐になる」



レンハルトの耳がぴぴっと動いて、尻尾もふぁさあって揺れた。



「て、手で……揉み込んでくれ。まんべんなく。で、できるとこだけでいい。もちろん」



しちゃいけないとこまでしたいとこだけどガマンしよう。


って考えたのがバレたのか、レンハルトさんはびくぅと身を竦めた。お耳が両方こっちに向いてる。集中されてる。


ふぅん。目がうるんできたわね……地肌マッサージのこと思い出したんかな? 気もちよさそうにしてたもんねぇ。よしよし。



……ふっふっふっ……。


レンハルト・ロウ!


朝日奈エステティックへ、ふたたびのようこそ!!



洗濯済みのふんどしもどきに着替えさせて床に座らせた。


マッサージ台もマットもなくてすまないな、レン。ベッドは油で汚したら悪いだろ。


油でてらてらした両手をわきわきさせたら、レンハルトは左右にキョロキョロと視線をさまよわせた。なにその乙女ちっくな反応。


やがて観念した様子で体を開く。


あ、だってデカイからさ。足開いてもらって真正面からじゃないと胸元やお腹はやりにくいのよねー。



え? レンハルトのキレイな金色の眼が潤んでるのは怯えからじゃないかって?


HAHAHA! 面白いこと言うねぇ、チミィ!


肩にも届かない身長のわたしのどこに彼が恐れる要素があるというんだね? ほらほら? 嫌なら押し返したっていいのよ?


あのデッカイ手でどつかれたら、わたしなんて端の壁まで転がってくわ。それにそんな強硬な手段を使わなくたって、嫌だって言ってくれれば即やめるってわかってるだろうし。


わたし、甘いんだもんね?


銀灰色の毛皮に油をもみこまれてる間、レンハルトは黙っておとなしくされるがままだった。どこ触られても、ここかしこ触られても、ビクッと反応するだけで。一切の抵抗なし。


ぷるぷるして顔を背けつつではあっても。


終わる頃にはくたっとしてたけども。



……ああっ、いい毛艶っ!!



我輩も仕事の結果には満足である。






余談。


アマツの油には艶出しと防汚の効果がある。洗ってキレイにした毛によく揉み込んでおくと汚れが付きにくくなる。


獣族の体を清潔に保ってあげるための必須アイテムで、上質なものは爽やかな若草の匂いがする。




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