人嫌い
亀更新ですみませんでしたぁっ!
夕日が茜色に染まっていく、夕方あたりのころ。
マンションに住む私の部屋の窓はカーテン包み込まれていた。
朝から、ずっとカーテンを開けていない。
いや、いつからだったかな。
ずっと、ずっと、ずーっと。
昔の朝からカーテンを開けなくなってしまった。
その日は、今は覚えてないけれど。でも、すごく印象的で、開けなくなった理由はわかりきっていた。
大きく感じるこのマンションの部屋は4部屋ある。その中の一つの部屋に私は入って行った。
中は、色、というものがあまり感じられないほどのシンプルな部屋。まぁ、すべての部屋もこんな感じになってるけど。
リビングにはいろいろと家具はあるけれど、やっぱり必要最低限のものしかなくて。
―――――他に、もっとほしいものが今あるから。
だから、雑貨なんていらない。
”住んでいた人が私の前から消えた”あの日から私は物を捨てたり、増やしたりなんてしなかった。
壊さないように。
割れないように。
破れないように。
たとえ、壊れても。
割れても。
破れても。
そのものは絶対に捨てなかった。
使えなくても、捨てたりなんてしなかった。
そして、絶対に買おうなんて思わなかった。まだ、使えるものはすべて使ったから。
自室にある机の上に置いたパソコンを開く。
たちあげて、見飽きるほどみたトイ・プードルの写真の待ち受け。
私の”大切な2人”がこの犬が好きだといって、私はこの写真を手に入れて、2人に見せてあげたことがあった。とても、喜んでくれた。すごく、きれいに笑っていて「かわいいね」といって頭をなでてくれた。暖かい、優しい手で。
この待ち受けを見るたびに、それを毎回思い出す。
同時に笑みがこぼれる。でも、すぐに終わってしまう。
すぐに、哀しくなる。
すぐに、切なくなる。
もう、会うことなんてできないから。
ハァ、とため息をつき、ネットを開く。検索ワードに並べたのはある有名なアバターゲームの名前。
そういえば、このゲームを始めて一カ月がたつなと思う。それと同時に、よく一ヶ月も続けられたなと思う。
ふぅ、とまた違うため息をつく。
うつむいたと同時に自分の黒く長い髪がはらりと頬を滑った。
…この髪も、切っていないな。
なんて、そう思ったって美容院にいって髪を切るつもりなんてないけど。
ログイン画面で自分で決めたパスワードとIDを素早く入力する。すると同時に、私は近くに合ったヘッドフォンを耳にあてた。
開いた先は私のアバターのホーム。
この自室と同じで本当にシンプルだ。きっと私に女子力はないんだろうな。
『新しくできたプレイスがあります。』
機械じみた私のアバターの声がヘッドフォンから聞こえてきた。あぁこの声を聞くのも一カ月がたったのかと頭の四隅にインプットする。まぁ、理由なんてないけれど。
でも、何かありそうで。
何か、楽しめどうで。
何か、新しいことが起きそうで。
――――少しくらい、期待してもいいんじゃないかな。
なんて、勝手に妄想でもしてる。
私は、人が嫌いだ。
人は、簡単に裏切る。
人は、自分の嫌な状況になると他人を陥れるように嘲笑う。
人は、自分より下の人間を見ると、躊躇なく暴力やら暴言をする。
すべてを知った私は、人なんて信じられない。
人を大嫌いになった。
人である、自分自身も嫌いになっていた。
でも、そんな私を救ってくれた人もいた。そんな、優しい人もいた。
私の伯父さんだった。
その人は人でもとても大好きな人だ。
大切で、仕方がない人だ。
私のことをすべて知っている。
私のことをすべて理解してる。
絶対の信用を私はしている。
だから、少しだけ人が”大嫌い”を”嫌い”になおせた。まぁ、どっちにしろ嫌いだけど。
そんな私が何故、出会う確率の多い「アバターゲーム」なんかやっているのか。
それは伯父さんからの勧めだった。