2万光年彼方の愛の告白
僕は地球まれ日本育ちの大木哲也男、地球標準年
齢19歳。いま、地球から2万光年離れたペディウス星系第5惑星
ニーノンの宇宙総合大学理論物理科に通う2年生。僕は今恋をして
いる、遥か故郷から離れて1年と少し。そんな僕が恋をしたのは宇
宙生物学科2年生のシャーミンだ。
1年生の始まりに君と廊下ですれ違ったあの時。君のつけていた香
水の匂いに、春の花畑を思い出し振り返ったその時から、恋が芽生
えたのかもしれない。目に映る景色の中に君がいると、ついつい見
てしまう自分に奇妙な感覚を覚えた。いつしか、君の事を目線が追
いかけている自分に気がつき、恋なのだろうかと思い始めた。
そしてなぜか君も僕を見ている時があり、目線が合ってしまうとお
互いにうつむいてしまう事に気がついたのは、それから少したって
からでした。
あれから1年、僕はとうとう告白する事に決めた。僕の愛しいシャ
ーミン、君の事を想い何度ベットで眠れない夜を過ごしたことだろ
う、目をつぶれば、君の姿が鮮明に見えてくる。君の愛くるしい瞳、
黄色い目の中にある青い瞳。左右の目が別々の方向を見ていても、
中央の瞳はこちらを常に見ている。愛くるしい緑色の顔、かわいらし
いとがった耳。特に好きなのは君の尻尾だ、ゆらゆらと何時もゆれ
ている、緊張している時は少し上向き加減にぴんとしている君の尻
尾。嬉しい時はもちろんフリフリと速くゆれる。
僕の愛しいシャーミン、とうとう君を愛がかなう桜の木の下に誘った。
うつむき加減に返事をするシャーミン。待ちきれずに30分も前に
着く僕、早すぎたかなと思いつつもうろうろしていた僕。遠くか
ら歩いてきた君の姿を見つけて心臓が張り裂けそうになる。僕のそ
ばに来た彼女、恥ずかしげにうつむいている。尻尾はこれ以上ない
ほどピンと上を向いて固まっていた。
僕は渾身の勇気を振りしぼって話し始めた。
「僕は地球生まれの地球人です」
「そんな僕ですが、シャーミンさんを1年の時から見ていました」
「好きです! 僕の彼女になってください」
わずか数秒だったが、僕にとっては長い沈黙の時間だった。シャー
ミンは小さな声で話し始めた……
「私も哲也やさんのことが好きです」
「影から何時も哲也さんのことを見ていました」
「こんなに遠く離れた惑星で、同郷の人に会えるとは思いませんで
した」
「お父様に言われ、絶対に守っていた秘密を打ち明けます」
そう言って、首の横にあるボタンを押す。小さな電子音と共に顔が
二つに割れ、その中から黒髪をした地球人の美少女が現れた。
僕はあまりの驚きと共に、溢れる涙を流して泣いた、うつむきなが
ら僕はつぶやいた。
「まさか…… まさか…… ま・さ・か!」
「シャーミンが…… 同郷の女で、ブスで無様で汚らしい地球人だっ
たとは、僕の恋も愛も失った……」
その言葉を聞いた美少女はわなわなと振るえる手を握り締め。
「哲也ブッコロス──────────────────!」
叫んだと共に、哲也に必殺の回しげりをした。