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異世界で暇してたら ――ご令嬢は爆破系――

作者: 甘い秋空
掲載日:2026/06/06


 王立騎士学園中等部に通うクロガネは、退屈な日常を大きなあくびで迎える。だが、その平穏はご令嬢フランソワーズの父である成金侯爵が逮捕されたことで吹き飛ぶ。成金侯爵である彼女の父の馬車から“盗品”が見つかったという。

 事情を聞けば、どうやら借金のカタに男爵家から持ち出した物が原因らしい。真相を確かめるため、二人は騎士団庁舎へ向かうが――

タグ:異世界転移、学園、無双、ざまぁ、ラブコメ、青春、令嬢


(物語)

「ふわぁ~……」

 大きなあくびが出た。王立騎士学園中等部に通う俺、クロガネの一日は、いつも通りの退屈から始まる……はずだった。

「クロガネ君。父が逮捕されたわ」

 教室の扉が『バァン!』と開き、金髪を揺らして飛び込んできたのは、侯爵令嬢であるフランソワーズだ。

 青い瞳は怒りでメラメラ燃えている。


「……は?」

「父の馬車から盗品が見つかったらしいの。そんなはずないわ」

 フランソワーズは俺の腕をつかみ、そのまま廊下へと引きずり出す。

「状況を説明してくれ」

「借金のカタに、男爵家から『預かった物』があっただけよ。父は悪くないわ」

 いや、それ普通にアウトでは。

 心の中でツッコミを入れつつ、俺たちは騎士団庁舎へ向かった。


 ◆


 騎士団庁舎・面会室の重たい扉が閉まった。

「父は冤罪よ! いますぐ解放しなさい!」

 フランソワーズが、怒りにまかせて机を叩く。

「言い訳なんか聞かない!」

 騎士団も机を叩いて、どちらも引かない。

『ドォンッ!』と爆発音。

 庁舎全体が揺れた。爆発音……これ、俺が仕掛けた「魔道具の音だけ花火」だ。

 庁舎内は、テロが襲ってきたのではと大騒ぎになり、全員が避難を始め、俺たちも外に出た。


「私の話を聞かない騎士団なんて……」

 怒りが収まっていないフランソワーズが、魔力を練り上げる。

「ちょ、待て! まさか――」

「吹き飛びなさい!」

『ズガァァァン!』

 騎士団庁舎が全壊した。

「やりすぎだろ!!」

「父を疑った罰よ」

 完全に逆恨みである。


 ◆


 俺とフランソワーズは、成金侯爵の豪華すぎる馬車に乗り込み、男爵の屋敷へと向かった。

「父を陥れたのは男爵よ」

「つまり、男爵は盗品だと知っていた?」

「そう。密売人と組んでるに決まってるわ」

 馬車は街道を疾走する。


 ◆


 屋敷へ馬車で飛び込むと、男爵と密売人たちが、盗品を前に取り引きしていた。

「やっぱり黒じゃねぇか……」

 俺が呟いた瞬間、男爵がこちらを指差す。

「その馬車の盗品を返してもらおうか!」

「返すわけないでしょう。あなたが父を陥れたんだから!」

 フランソワーズが杖を構え、魔力を練り上げる。

 そのとき――


「そこまでだ!」

 騎士団が飛び込んできた。どうやら俺たちを追ってきたらしい。

 そして、男爵と密売人の取り引き現場を“バッチリ”目撃。俺の作戦どおりだ。

「ち、違う! これはだな――」

「言い訳は庁舎で聞く!」

 騎士団はそう言うが、俺たちの言い分を聞かなかっただろうが……


 ◆


 男爵と密売人たちと騎士団が衝突し、火花が散る。

 しかし、人数の少ない騎士団のほうが押されている。

「父のカタキ!」

 フランソワーズが飛び出し、男爵を魔法で吹き飛ばした。なお、彼女の父のである成金侯爵は亡くなってはいない。

 それを機に、騎士団だ次々と密売人たちを取り押さえていく。

「くっ……覚えていろ……!」

 男爵と密売人たちは捕縛された。


 ◆


 そして、全壊した騎士団の庁舎前――

「騎士団の皆さま、このたびは密輸団を一網打尽したことに感謝し、新しい庁舎を寄付いたします」

 成金侯爵は満面の笑みで言った。

 騎士団員たちは微妙な歓声を上げ、フランソワーズは胸を張り、俺はため息をつく。

「クロガネ君の魔道具のおかげね」

「いや、フランソワーズ嬢の魔法のせいだろ……」

 そんな俺のぼやきをよそに、フランソワーズは満足げに笑っていた。

 今日も、俺の平穏は遠いけど、彼女の笑顔が気持ちいい。


  ―― またね ――


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