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「うーん……」
意を決して中に入ったはいいものの、流石人気ブランドのミブプリ。宵子目線からするとキラキラした服がどこかしこに展示されてる。
「や、やっぱりあたしじゃ似合いませんよね……」
「というか、先に髪切りに行くべきだったなあと思って」
……髪。そう言われて思わず彼女の身体が震えた。
「まずダサすぎる服を何とかしたかったんだけど、見た目がこれじゃあ似合う服すら見つけらんないし。やっぱ髪切ってメイクしてそれから……」
「嫌ですっ!!」
周りの目も気にせず宵子は叫んだ。
「嫌って何が?」
「か、髪、嫌です。切りたくない」
「はあ!?アンタ契約書にサインしたじゃん!どういう改造しても文句言わないってここに書いてあるだろ!」
将吾は間違いなく彼女がサインした契約書を取り出し、ペシペシと叩く。
「そ、そうですけど!でもこれだけは嫌です!絶対に嫌です!」
「僕に任せときゃ問題ないって言ってるんだから言うこと聞いてくんないかな!?それにアイツのこと見返してやりたいんでしょ!?」
……そして冒頭に至る訳である。
確かに契約書にサインした。内容だってちゃんと読んだ。その上で納得してサインした。それは認めざるを得ない。
(でも、髪だけはダメ。だって……っ)
「不細工なツラ晒すな。その顔見るだけで皆不快にしてんだよお前。一生顔隠して生きろ」
「うえっ……」
そう。宵子は自分の兄にこう言われ続けて、その結果、前髪で顔を隠した。お前の不快な顔は誰にも晒すなと、ずっとずっと言われ続けてきたから。
この場に居ない兄の言葉が鮮明に聞こえてきて、吐き気が止まらない。
(嫌だ。髪は嫌だ。顔を見せちゃだめだから)
「ちょっと、どうしたんだよ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
蹲る宵子に将吾が声を掛けるが、それに返事をする余裕が無い。宵子はただひたすら、謝罪の言葉を繰り返す。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……。
「何泣いてんだ、鳥女」
突然、宵子の目の前から声が飛んできたと思うと、
「……!?」
眩しい。……急に視界が開けた。




