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「アンタ契約書にサインしたじゃん!どういう改造しても文句言わないってここに書いてあるだろ!」
「そ、そうですけど!でもこれだけは嫌です!絶対に嫌です!」
「僕に任せときゃ問題ないって言ってるんだから言うこと聞いてくんないかな!?それにアイツのこと見返してやりたいんでしょ!?」
……どうしてこんなことになってしまったのか。それは今から一時間程前まで遡ることになる。
「……まだかな」
今日は土曜日で、学校も休みの日だった。
普段は外出もせずに自分の部屋に引き篭っているだけの宵子だが、今日はどうして外に居るのかと言うと、例の《よいこちゃん改造計画》を実施する為である。
「土曜日の10時にニャン像の前で待ってて!」
……そう、有翔から言われた。そうすれば担当の部員がやって来るから……と。
でも誰が来るかは聞かされていない。出来れば常磐先輩じゃなければいいな……怖いし……などと宵子は思っていた。
「何て顔してやがる、鳥女」
「……うわ」
「おいコラ、露骨に嫌そうな反応するな」
しかし、彼女の願いも虚しくやって来たのは常磐鎌実、彼だった。
「べ、別に嫌とか思ってないですけど」
「顔に出てるんだよ」
(……そういうあなたも不機嫌なのが思いっきり顔に出てますけど)
宵子は鎌実と二人は気まずいなあと思っていたが、どうやらやって来た部員は彼だけではないようで。後ろからもう一人。
「おまたせ。……ってアンタ同じクラスの」
「あ、えっと……直樹くん?」
「ふーん。アンタが依頼主だったんだ」
現れたのは宵子と同じクラスの男子、直樹将吾だった。
(直樹くんも部員だったんだ。なんか、意外)
宵子は鎌実と二人なのはめちゃくちゃ気まずいし正直嫌だなと思っていた。なので人が増えるのは願ったり叶ったりなのだが。実は彼女は将吾のことも実は若干苦手だったのである。
宵子自身、将吾に何かされた訳では無い。しかし、彼はその見た目が怖いのだ。
一年前は普通だった。だが、最近になってピアスをこれでもかというくらいに開けるようになり。
しかも制服の時でも怖かったのに今は私服だ。しかも予想通りのバリバリのパンクファッションである。
……宵子が普通に生きていたら絶対に関わろうとは思わないような人種であることには間違いない。
あまり好きでは無い常磐鎌実と、苦手意識がある直樹将吾。正直宵子は今すぐに逃げ出したいと思ったが、そういう訳にもいかない。
「ふーん……何となく傾向は分かった。さ、行こっか」
将吾は宵子のことを頭から爪先までジロジロと見つめると、唐突に歩き出した。
「あ、あの。これから何処へ向かうんですか?」
「改造計画なんだからまず見た目からでしょ。とりあえずそのクソダサいファッション、何とかするよ」
「……待て。それなら俺はどうして連れて来られたんだ」
「アンタは荷物持ち。一番新人なんだから当たり前でしょ」
自分がパシられ要員だと分かると更に不機嫌そうになり、舌打ちする鎌実。
どうやら彼はよろず部の中ではあまり扱いは宜しくないようだ。その事実に宵子は思わず笑ってしまうと、案の定鎌実に思いっきり睨みつけられた。




