第2話 母親
静寂の中、機械の音だけが微かに響いていた。
ピー……、ピー……。
意識は霞んでいたが、確かに何かが“繋がっている”感覚があった。
視界の奥で、白い天井がぼやけて見えた。
「……ここは……?」
声にならない声が漏れる。喉が焼けつくように乾いていた。
「――っ!玲音 ……? 静寂の中、機械の音だけが微かに響いていた。
ピー……、ピー……。
意識は霞んでいたが、確かに何かが“繋がっている”感覚があった。
視界の奥で、白い天井がぼやけて見えた。
「……ここは……?」
声にならない声が漏れる。喉が焼けつくように乾いていた。
「――っ! 怜音……? 怜音なの……っ!?」
ぼやけた視界の中に、ひとつの影が近づいてきた。
女性。40代半ばくらい。だが、その顔は歳相応には見えなかった。
疲れ切った瞳。目の下のくま。やせ細った指。
「あ……ああ……!」
彼女は震える手でレン――いや、“怜音”の手を握りしめた。
「目を……目を覚ましたの……! ずっと、ずっと……! 20年も……!」
彼女の頬を涙が伝う。
一瞬、怜音の中にある疑問が駆け巡った。
『――ここはどこだ?』
『俺は、なぜここに?』
けれど、今は何も言えなかった。ただ、その手の温もりを感じることしかできなかった。
名前暁月 志保
年齢42歳
性格非常に我慢強く、献身的。ただし心は限界に近い。
過去息子・怜音が1歳のときに事故で植物状態に。夫は責任に耐えきれず失踪。女手一つで20年間、息子の世話と介護を続けてきた。