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第19話 制裁

「う、うぅ……ごめ……なさい……っ!」


血だらけになった少年が、涙を流しながら地に伏していた。


怜音の右手が、静かに光っていた。


回復魔法【ヒール】。

ほんの一瞬で、骨は元通りになり、裂けた皮膚がふさがっていく。


だが、その回復は“慈悲”ではなかった。







「まだだ」


その声は冷たい。


優しさの欠片すら含まない、異世界の処刑人の声。


怜音は指を弾くように動かした。


雷槍ライトニング・スピア




眩い光の槍が、音もなく少年の肩を撃ち抜いた。







「ぎゃああああっ!!!」




全身を焼かれるような痛み。

息ができず、痙攣する体。


そしてまた――怜音は【ヒール】を使う。


傷が癒えた瞬間、また別の魔法が放たれる。


水牙ウォーター・ファング




水の刃が、少女の足を貫いた。







いじめっ子たちは、次々に地面に倒れ、

癒されては、また壊される、地獄のような痛みに晒されていた。


怜音の顔は、何の感情もなかった。


ただ、冷酷な事実だけが、その手を動かしていた。







「人に痛みを与えた者が、

自分の身を痛めつけられて、何が悪い」


「俺は殺さない。だけど――」


「生きて後悔しろ」




その言葉と共に、最後の魔法が地に放たれた。







路地裏には、呻き声だけが残った。


恐怖。


だが怜音には、どこか――安心感があった。


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