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第1話 目覚め

――暗闇の中、無数の声が聞こえた。


「もう、望みはないのかもしれない」

「あの子は、帰ってこない」


泣き声、諦めの囁き、静かな祈り。


それは、かつて世界を救った勇者にとって、聞きなれた“人間の限界”だった。


次に目を開けたとき、レイは白い天井を見上げていた。


胸には管。腕には点滴。

ベッドの横には、誰もいなかった。


「……ここは、どこだ」


世界が違う。空気も、魔力の流れも。


だが、感じる。


この世界にも、救いを求める声がある。


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