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衝撃と愛情

 朝六時にスマホのアラームが鳴っていることに寝ぼけながら理解してスマホを操作して止める。

 不定休だからアラームは毎日鳴るようにしている。

 体が重いな・・・。いつも朝は前日の疲れを感じる。自分も若くないんだなとしみじみ思うようになってきた。

「あー眠い!」


 せっかくの休みを惰眠で過ごしたくない。でも布団から出れない。

 今日はどんちゃんと遊ぶんだ。昨日十五分遊んだから今日は長めに出してあげよう。


「かぁたん起きたの?」


 誰もいるはずがないのに自分以外の声にびっくりして飛び起きた。

 辺りを見合わせても誰もいない。

 残業続きで幻聴まで聞こえるようになってしまったのかと思い尻尾振っているどんちゃんを見る


「かぁたんが起きたー!」


 あぁやっぱり疲れているんだ。どんちゃんが喋っているなんて

 どうしよう二度寝したら治るのかな・・・


「ご飯!ご飯!」


 サークルの中で回りながらご飯の要求をするどんちゃん。

 病院行くにもどこ行けばいいんだろうか。

 いきなり愛犬が喋りだしまして~なんて言えるわけがない!

 どんちゃんを病院に連れて行くのもありか?

 今日から喋りだして~もっと言えない・・・。

 このまま思考を巡らわしても変わらないと思ったので恐る恐るどんちゃんの方へ視線を向ける。


「ご飯だ~お腹なってるよ~」


 恐る恐るベットから出てどんちゃんのご飯が入ってるケースから百グラム取り出してペット用のご飯茶碗に入れてあげてみる。もぐもぐご飯を飛ばしながら食べる姿はいつも通りのどんちゃんだ。


「美味しい!!いっぱい食べたい!あ、ここにも落ちてる!」


 自分が飛ばしたご飯粒を丁寧に食べている。

 そして喋っている・・・。


「かぁたん今日もお仕事かな?」

「休みだよ」

「・・・・」


 なんとなく返答してみたが、反応がないやっぱり気のせいなのか、ただ、私が疲れて幻聴が聞こえただけだったのか。それはそれで今後が不安になるが原因が自分にあるのがわかってホッとした。


「かぁたん僕の言葉がわかるの!?」

「え・・・」

「どうしてわかるの!?」


 勘違いじゃなかった!しかもどんちゃんまで戸惑っている!

 二人して、いや、一人と一匹が朝の六時半に慌てていた。

 映画やドラマ、絵本や小説の世界でしか知らない!


「本当に喋っているんだねどんちゃんは」

「僕いつも喋っているよ?かあたん」

「いや、意思疎通ができるようになったのか」


 いしそつう?と首を傾げながら尻尾振っている。

 この感じだと、どんちゃんも何故話せるようになったか分からないといった感じだ。

 原因はわからないが、どんちゃんと話せるようになった。


「なんで話せるんだろう?」

「僕はうれしいよ!かぁたんと話せるならなんでもいい!」


 純粋無垢な目でなんの曇りもなく本音で言ってくれているのがわかる。

 原因なんてすぐわかるはずの事柄ではないのだからそこまで深く考えなくてもいいいのではと思い始めてきた。


「これからもいっぱい話そうね!かぁたん!」

「どんちゃんずっと私の事お母さんって言ってくれてたの?」

「お母さんじゃない!!かぁたんなの!!」


 謎のこだわりがあるようで、シーズーって確か頑固な一面持っていたはずだから案外あてはまるんだな。

「かぁたん僕うんちするね!」

「あ、わかった」


意思疎通ができるならしつけも楽なのでは?

元々どんちゃんはトイレトレーニングしなくてもトイレで用を足してくれるのでありがたかった。


「いっぱい出た!!」

「はいはい取るね~」


もうさっきまでの戸惑いもなくなっていていつも通りにうんちを拾って袋に入れて結んでゴミ箱へ捨てた。


「かぁたん!今日ここから出る日でしょ?僕早く出たい!!」


そういってサークルを短い前足で引っ搔く。

どんちゃんが喋ったことで忘れていたが今日はお家デビューの日だ。


「わかったから引っ搔かないで」

「わーい!!」


サークルの扉を開けるとダッシュで出てきたどんちゃん

1Kの部屋に期待と夢でも持っているのかもしれない。

チャカチャカと爪音を響かせて部屋を探検している。


「ここなに入ってるの?ご飯?」

「そこはトイレとお風呂だよ」

「おふろ?おいしいやつ?」

「どんちゃんはまだ先になるけど、美味しくはないよ」


ふーんって言いながらキッチンに向かう。


「ここからはいい匂いがする~」

「そこはキッチンだからかな」


次はベッドサイドに近づきふんふんと鼻をひくひくさせてる。

体臭とか一番強いのか急に恥ずかしくなった。


「ここはお布団だ!どんちゃんもここで寝る!」

「今日から一緒に寝てみるのもいいね」


私自身将来的には一緒に寝てみたいと思ってたので、よかった。

スロープを買ってこないと、どんちゃんが上り下りできない。


「僕おもちゃで遊ぶ~」


心映りが早いのは性格なのかなとまるで小さい子供を相手にしているみたいで新鮮だ。

気が付けばお昼を回っていた。

お昼を食べてスロープでも買いに行くか。


「どんちゃん私買い物に行くからサークルでお留守番してもらえるかな?」

「いやだ!!また独りぼっちになるの嫌だ!」


その言葉に驚いた。

確かに寂しい思いをさせてた。仕事も残業ばかりで帰ってからご飯あげてすぐ寝てしまってとくに構ってあげていなかった。こんなはずでは無かった。


「今日はお休みの日でしょ?家にいて僕と遊ぶのがお休みなの!」


咬んでいたおもちゃを放り出して私の膝に覆いかぶさった。

ずっとだめだめと首を振り一生懸命に悲願してる。

スロープはネットでも買えるし、他の用事もない。


「わかった今日は一緒に遊ぼうか」

「ほんと!?」


バッと顔を上げてキラキラした黒いビー玉みたいな目と合う。

そんな目で見られるとなんでも許してしまいそうになんでもしてあげたいと思う。

この日はどんちゃんとロープで引っ張り合ったりぬいぐるみを投げるを繰り返したりお腹をくすぐったり夜ご飯を一緒に食べて一緒に布団に潜って寝た。


「かぁたんずーっと一緒だよ」


眠りに落ちるまで寝ぼけ眼でどんちゃんを撫でていた。


















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