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縁と声

今日は仕事終えたらどんべぇをサークルから出していっぱい撫でて遊ぼうと決めてる日

生憎今日も仕事なので、一つ一つ片付けていく。


「今日も残業ですかね」

「残業じゃない日あったっけ?」


鍋下さんはネブライザーをセットしながら言う。

定時で帰れたのは働き始めて二回ほどしかない。

鍋下さんも定時で上がれるという期待はもう捨てたらしい。

早くどんべぇに会いたい。


「先にお昼休憩入ってもらえる?」

「わかりました」


従業員専用の喫煙所で一服する。

このたばこも好きだった男性の影響で始めて禁煙できなくなった。

結局はその人も付き合ってる人がいて、別れたら付き合ってあげるから待っていてと言われ三か月待てど暮らせど別れる気配がないので自然消滅した恋だった。

たばこを消して喫煙所を出た。

休憩ルームに行き、出勤前にコンビニで買ったかつ丼を食べ始める。

これからは毎回自炊して、お弁当にして節約してどんべぇの保険以外にもお金貯めないと。

かつ丼を食べ終え食後の一服をして仕事に戻った。


「一番安い仔が欲しいんですけど、いくらですか?」


休憩から戻りCA担当の加藤さんも休憩に入ったので、私が表に立ちながらカルテを書いていたら話しかけられた。少し不安になる質問だが値段も大事な縁を結ぶきっかけになるのだ。


「犬種などは決まっていますでしょうか?」

「とにかく安い仔」


一番安い仔はチワワで十五万ワクチン代や必要な道具を含めても二十万程になる。

保険は別にかかり、任意で入るか入らないを決めれるので、この人は入らないだろうと思いながら接客する。


「この仔にするわ」

「ありがとうございます。ではこちらのお部屋でお待ちください」


結果的にはこの仔との縁があったのだ。

鍋下さんに契約が決まったと報告したら慣れてるようで私が表に立つから行ってきなとカルテを受け取ってくれた。

飼い方や動画を観てもらい、いざ保険の説明を人通りさせてもらったが終始早く終わって欲しそうな雰囲気をだしてきたのを感じた。


「今、わんちゃんも長生きしてくれる子もいるので、その時に保険が大事になってきます」

「そんなに長生きされても困るからね~」


意外な言葉にびっくりして固まってしまったが、なんて人だ。

病気になっても病院にいかないのか?この人は。

私は怒りを抑えて終始育成の紙を取り出しサインをもらう。

サインを貰ったあと犬に必要なサークルやおもちゃ毛を梳かすコームなどを選んでもらいその間も一番安いやつと連呼された。お会計を済ませて見送ったが、私の腹の虫が収まらず鍋下さんに全部伝えた。


「そんなのいっぱいいるよ慣れるしかないんだよね~」

「そいうものなんですね・・・」


あの後も胸にしこりを残しながら仕事をして帰りにどんべぇの新しいおもちゃを社割で買って帰宅した。

明日は休みだ。それに今日はどんべぇをサークルから出す日でもある。

自宅のドアを開けると尻尾を振ってお出迎えしてくれる愛しいどんべぇ。


「どんちゃんただいま!まずご飯食べようか」


ご飯を食べてるどんちゃんを見つめて今日の事を思い浮かべる。


「どんちゃんは私になんかでいいのかな・・・」


頭を撫でて伝えたら不思議そうにこちらを見てじーっとしてるどんちゃん

眼がうるうるで可愛いと思い強く撫でた。


「ご飯食べたら遊ぼうか!」


どんちゃんはうなづくようにご飯を食べ始めた。

ご飯後どんちゃんを出してあげて、新しいおもちゃを与えたらぶんぶん振り回して遊んでくれた。

サークルから出すときも緊張もせず出てきたのでペットショップに居た頃よりメンタルが鍛えられているのかもしれない。成長したどんちゃんに喜びを感じながらどんちゃんをサークルに戻す。


「疲れちゃうから今日はここまでね また明日遊ぼうねどんちゃん」


初めてのサークルの外だったので十五分だけ遊んでもらいました。

明日は仕事も休みなのでいっぱい遊んであげれるので早めに寝ようと布団に移動した。

お風呂も明日済まそうと深く布団に潜ったら日頃の疲れかすぐに眠気がきてくれた。

「かぁたん寝たの?」

誰かの話す声が聞こえたが、眠気で意識が飛んだ。


「お疲れ様かぁたん 明日も遊んでね」








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