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誕生日プレゼント

ココアちゃんママとのお茶会を無理やり終えて三日経った。

「気分を害してごめんなんさい・・・どんちゃんママがペットショップで働いている事知らなくて・・・」

と返事が来たが素っ気なく「大丈夫です」と返した。


「腹が立ったんで一万円置いて帰ったんですよ」

「田瀬って意外と感情的になるんだね」


私も気を付けようっとって言ってる鍋下さんに笑う。

確かに好き嫌いは、はっきりしているほうだ。


「いろんな家族っているけど、望まれないって残酷よね」

「こんなはずじゃなかったが多いですよね」

「ギャップってやつよね」


そう普通の犬猫でもこんな走り回る子だとは知らなかった、こんな吠えるとは思わなかったというクレームみたいな電話も多い。一貫してそこまで安心できる空間を作っていただきありがとうございます。ご心配ならドッグトレーナーの方を案内できますがいかがでしょうか?と対応するともういいです!と切られる。


「人間と同じで最初からいい仔なんていませんからね」

「どんちゃんはどう?」

「ブロッコリー単体で食べてくれませんよ」

「可愛いじゃん」


どんちゃんは親目線だが、いい仔だと思う。抱っこ魔なのが心配だが・・・。

これから大きくなるしもうすぐ誕生日だ。

初めての誕生日をどう過ごそうか考えなくてはならない。


「どんちゃんの誕生日どうしましょう」

「あら、もうそんな経つのか」


鍋下さんと働いて一年になる。

業務も覚えてきて新人教育まで任されるようになった。

だが、所詮アルバイトだ。どんなに頑張ってもボーナスはでない。


「田瀬さん!表に来て柊さんの練習相手になってあげてくれませんか?」

「加藤さん休憩ですか?」

「そうなの~」

「わかりました、今行きます」


表に働いて半年の柊さんが立っていた。

まだ契約二本ほど掴んではいるが、保険の話をお客様にするには資格が必要なのでまだ独り立ちは出来ない。


「あ、田瀬さん!」

「お久しぶりです」

「田瀬さん噂になってますよ!」

「何が?」


柊さんは綺麗な歯並びのいい歯を見せる。


「竹本さんとデート行ったって!」

「あーどんちゃんと一緒に遊んでくれただけよ」

「それをデートって言うんですよ!」


私はまたこの手の話かと呆れる。

何でこの人はこの手の話が好きなのだろうといつも思ってしまう。


「はい、保険の説明をしてください」

「もー田瀬さんそれだから彼氏出来ないんですよ!あ、竹本さんいるか!」

「いい加減にしないと鍋下さんに相談するよ」


やべっと言う顔をして保険の説明をしだす。

鍋下さんが怖いのは入ってすぐ分かることだ。後に優しい先輩でもあると気づかされる。

説明はたどたどしく、練習してないのが分かるが頑張って説明しているのが伝わる。


「もっとスムーズに言えるように練習しようか」

「えー私忙しいんですよ~」

「そんなこと言ったって仕事だから」


柊さんはぶつぶつと文句を言いながら保険の説明の練習をしてる。

私も練習を聞きながらカルテを書いてはフォローを入れたりして一時間を過ごした。


帰り際に鍋下さんに色々お疲れと言われ、本当にお疲れだった。

どんちゃんの誕生日プレゼント何がいいか考えながらお迎えに行く。


「どんちゃん帰るよ~」

「あ、かぁたん!」


いつも私たちが最後だった。

先生たちにも申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

挨拶もそこそこにして自転車を走らせる。


「どんちゃん誕生日近いけどなにか欲しいのある?」

「たんじょうびって何?」

「どんちゃんが生まれた日を祝う日だよ~」


人間の子供の一歳とは訳が違うので、困ることも多い。

成長速度も普通の犬と同じなのか疑問に思ったので、連絡帳に書こうと思う。


「欲しいのなんでも買えるの?」

「そうだな・・・難しいものじゃなければ大丈夫だよ!」


どんちゃんには色々買い与えているので、どんちゃんが選んだ欲しいものを買ってあげたい。

高かったらどうしよう・・・。


「ドリルにしようかな?」

「ドリルならいつでも買ってあげるよ?」

「帰ったらかぁたんのスマホで欲しいの見ていい?」

「いいよ~」


最近の子はスマホを操作出来るらしく、それに漏れずどんちゃんもスマホを弄れる。

帰宅した後、言った通りにスマホで欲しいものを探すどんちゃんをそのままにして、夜ご飯を作る。


「今日は、鶏肉のあんかけにするね~」

「あんかけ好き~」


スマホから目を離さないどんちゃんを後ろからスマホを覗くと大きなぬいぐるみを見てた。

やっぱりぬいぐるみ好きだなと思った。


「はい、ご飯出来たからスマホ止めてね」

「あい!いただきます!」


これだとぬいぐるみになりそうだなと思いなんのぬいぐるみが欲しいって言うか楽しみだった。








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