先輩からのお誘いとママ友が出来たよ
菊池と関係を断って半年。
どんちゃんにはもう会えないと言い続けたので、最近はおじさんに会いたいと言わなくなった。
「ぶーぶー大事にするね」
「そうだね」
どんちゃんには我慢させてしまったのを後悔する。
最初から関係を持たなければ良かったとも思ったが、何も無かったようにするにはどんちゃんと菊池の
関係性は綺麗すぎる。
「はい!保育園行くよ~」
「お弁当に卵焼きある?」
「あるよ~」
お弁当作りも慣れたもんだ。
どんちゃんのご飯は湯がいて潰す作業が多いので力が付いたように感じる。
「抱っこ~」
「はいよ」
ドアのカギを閉めてどんちゃんを抱っこする。
自転車のチャイルドシートに乗せてヘルメットを付ける。
もう一年やってきた工程で慣れたもんだ。
「はい!いってらっしゃい!」
「いってきます!かぁたん!」
元気に教室に入っていくどんちゃんを見送り、職場に足を進める。
今日も残業かなと仕事を始める。
「田瀬さん今度どんちゃんと一緒に食事しませんか?」
休憩で一緒になった竹本さんが唐突に提案してきた。
最近は残業仲間ですねとどんちゃんの動画や話で乗り越える仲間になっていた。
年下の先輩という難しい関係性をぶち破ってくれて、ため口で話せる仲になった。
「いいね!休み合わせようか!」
「来週だとこの曜日がいいんじゃないですか?」
「店長にメモ残そう」
まだどこに行くか分からないが、どんちゃんの楽しみが増えたらいいなと思いながらメモを書く。
竹本さんとは異性だが、先輩でもあるので安全な関係性を築けている。
「どんちゃんに行きたい所聞いといてください」
「わかったありがとうね」
休憩が終わりバックヤードに戻ると電話対応をしている鍋下さんがいた。
電話対応が終わった鍋下さんに「社内恋愛は反対だからね」と言われた。
「社内恋愛してませんよ?」
「そう?そうならいいけど、社内恋愛して失敗してる人いっぱい見てきたからさ」
「落合さんはどうですか?」
「落合は店舗が違うし、応援に来ても部署も違うから上手くやってるよね」
多分先ほどの竹本さんとの会話を聞いてたのであろう。
デートではないのだ。デートならどんちゃんもいるから無理だと言う。
菊池で失敗したからそこは考えて行動しているつもりだ。
「竹本さんとはそうはならないので大丈夫ですよ」
「なら私とも飲みに行こうよ」
「いいですよ」と笑う。
業務を定時に終えて、鍋下さんに「お先失礼します」と告げて商品コーナーに行く。
どんちゃんのおやつが無くなり始めたので、その補充だ。
たまごボーロと朝ごはん用にぱんのおやつを手に取る。
レジには竹本さんがレジに背を向けてパソコンとにらめっこしてた。
「竹本さんお願いします」
「あ、田瀬さん終わりですか?」
「そう終わり~」
「どんちゃんにどこ行きたいか聞いといてくださいね」
「うん!分かったお疲れ~」
「お疲れっす」
どんちゃんを迎えに行く。
保育園に十八時に着いたら他のお迎えのお母さんとお父さんが少しいた。
どんちゃんを探すと他の仔とか鬼ごっこをしていた。
「どんちゃん!」
「あ、かぁたん!」
どんちゃんはこちらに走ってきて私の足を抱き着いた。
「お友達はいいの?」
「あ、ここあちゃんとのあくんと鬼ごっこしてた!」
「どんちゃんもう帰るの?」
ここあちゃんがどんちゃんに言う。
「ここあちゃんお母さんは?」
「今日はもういるよ!」
「すみませんうちのここあが・・・」
「大丈夫ですよ~」
ここあちゃんママが駆け寄る。
「ココア家に帰ってきてもどんちゃんが遊んでくれたって言っていて本当に助かってます」
「いえ、こちらこそありがとうございます」
「もし良ければなんですけど、連絡先交換しませんか?」
「わかりました!大丈夫ですよ!」
「途中でこの保育園に来たので、ママ友がいなくて・・・」
私はママ友とか全然考えていなかったなっと思う。
ママ友がいれば、私もどんちゃんの為になると思って連絡先を交換した。
交換したあとすぐ帰宅の準備をする。
「何かあったら連絡してください」
「わかりましたありがとうございます」
「ここあちゃんばいばい!」
「どんちゃんもばいばい!」
自転車を走らせる。
どんちゃんは「今日ねお絵描きしてかぁたん描いたんだよ!」ときゃっきゃっしている。
家に着きどんちゃんを抱っこして階段を上がる。日に日に重くなるどんちゃんに成長を感じる。
夜ご飯の時に竹本さんから言われたおでかけをどんちゃんに伝えてみる。
「竹本さんって方が一緒におでかけしようって言ってくれてるんだけど、どうかな?」
「おでかけする!」
「どんちゃんはどこ行きたい?」
「動物園!」
茹でたかぼちゃを頬張りながら言う。
竹本さんに動物園に行きたいらしいです!とご飯を食べているどんちゃんの写真と一緒に送った。




