オムツと不安
入園一日前に迫ってきた。
明日は仕事を休みたかったが人数の関係でできなく、どんちゃんを保育園に置いてすぐ仕事場に行かねばならない。
明日必要な物や書類を用意する。
リサイクルショップで買った服から靴下まで「どんべぇ」と名前を書いていく。
「かぁたんおしっこ!」
「よし!おまるでしよう!」
オムツを脱いでおまるに座るどんちゃんの背中を摩る。
「しーしー」
「ちーしー!」
おまるで用を足すことが増えてきた。出来ることが増えたと言える。
おまるをお風呂場で洗い、いつもの場所に戻す。
この部屋もどんちゃん使用になってきた。殺風景だった部屋がおもちゃやDVDや布団が部屋に色をつけている。
連絡帳に今まで書いたカルテを挟む。
使わないかもしれないが、何かに役立てれば幸いだ。
「おそらにきらきらおほしさま~」
DVDで音楽鑑賞しているどんちゃんは少し音痴で可愛かった。
明日必要な物には名前を書くのが終わって、
トートバッグに詰める。
嵩張るのがお昼寝セットだ。週に一度洗濯出来るように二点買ったので安心だ。
土日も開園している保育園なので、土日仕事の私は助かった。
入園も四月まで待たないといけないとか無かったので、まぁ、いきなり喋りだすんだから臨機応変に対応が出来る園なのだろう。
「かぁたん明日保育園?」
「そうだよ~」
どんちゃんは少し不安そうだ。
新しい場所に行くのが不安になるのは分かる。
「前行ったときみたいに楽しいよ」
「かぁたんと会えなくなる?」
「かぁたん夜、迎えに行くからそれまで遊んでいればいいよ」
うさぎとひつじのぬいぐるみを抱きしめて立っているどんちゃんを膝に乗せる。
「怖くなった?」
「ちがう」
「寂しくなった?」
「うん・・・」
いつも一人でお留守番出来る仔が寂しいと言ったのは驚きだった。
一旦おでかけして離れるという工程に寂しさを感じたのか。
私も他の仔と上手にお友達になれるか不安だった。人間には慣れているが、犬同士で会わせたことがない。
「どんちゃんはこれからこのお弁当でみんなとご飯食べるんだよ!スプーンフォーク使えるように練習しなきゃいけないし、この巾着にはオムツが入っているけど、トイレで出来るように練習でしょ~このお昼寝セットでみんなとお昼寝して、このクレヨンで絵をいっぱい描くんだよ~なにも寂しくないよ~」
「うん・・・」
「いつも一人でお留守番してくれてたでしょ?明日からは一人じゃないんだよ?」
「ぼく置いて帰らない?」
「置いてかないよ!仕事終わったら迎えに行くよ?」
少し安心したのか足をパタパタさせる。
新しい環境に怯えているようだ。
私も不安だった。お友達はできるのかお勉強が着いて行けるかなど、不安要素はたくさん。
「ほら!絵本読んであげるからどんちゃん先に寝ようか!」
「かぁたんは?」
「かぁたんまだやることあるから寝れないけど、大丈夫!すぐ寝るから!」
わかった!とベッドに上るどんちゃんをくすぐる。
「わーやめて!むりむり、あははは!!」
「ここだな~」
ベッドの上に不安定になりながらも立つどんちゃんに攻撃する。
どんちゃんはベッドの上を逃げ惑う。
この時間が好きだ。二人の時間が同じく流れているように感じるからだ。
どんちゃんはもっと成長する。その成長を見守りたい。
どんちゃんと遊んだ後は絵本を読んであげた。
遊んだからかすぐ眠りに落ちてくれた。
私はゆっくり起こさないようにベッドから下りて、作業に戻る。
リサイクルショップで買ったズボンに尻尾が出せるように穴を空けて切った端を縫い付ける。
裾も引きずらない程度に切って縫い、それを繰り返す。
ある程度終わったので、私も眠りにつく。
明日はバタバタかなと思いながらも楽しみでもあった。
どんちゃんならお友達いっぱい出来るだろうとどんちゃんを撫でる。
朝六時にアラームで起こされる。
体は重いが、お弁当を作らねばならない。
「かぁたんおはよう!」
「おはようどんちゃん」
どんちゃんをベッドから下してあげて、テレビを点ける。
私は自分の世話の前にお弁当作りにキッチンへ向かう。
味のない卵焼きと魚肉ソーセージとジャガイモを茹でただけのお弁当を作る。
最初にジャガイモを茹でる為、お湯を作る。卵焼きも同時進行で作る。
お弁当箱にご飯を詰めて、焼けた卵焼きを入れる。
茹で上がる前にどんちゃんに服を着させる。
オムツを交換して服を用意する。
「どんちゃんばんざーい!」
「あい!」
チェック柄のシャツにグレーのズボンを履かせる。
サスペンダー付けたら可愛いけどおトイレ練習の邪魔になるだろうと思い断念した。
服が終われば朝ごはんだ。茹で上がったジャガイモ一個を潰してペースト状にする。
残りのジャガイモは小さく切ってお弁当につめる。
昨日作ったゆで卵を小さく切って完成。
「今日は茹で卵とじゃがいもののペースト状です」
「ゆで卵美味しい?」
「美味しいよ!食べてみて」
どんちゃんはフォークを持ちゆで卵を刺して食べる。
「美味しい!!」
「でしょ!」
「じゃがいもも美味しい!」
エプロンにポロポロ落としながら食べるので、明日からはご飯が先だな。
私も準備をして自分のお弁当詰めてリュックに入れる。
どんちゃんのお弁当もどんちゃんの鞄に入れる。
食べ終えたどんちゃんの口を拭いてあげてヘルメットを装着する。
どんちゃんのお昼寝セットが入っているトートバッグとクレヨンなどが入っているバッグお弁当箱
荷物が多すぎて自転車がいっぱいだ。どんちゃんをシートに座らせてシートベルトを締める。
「よし!レッツゴー!」
「レッツゴー!!」
初めての登園日は私たちを応援するかのように空が澄み切っていた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
どんちゃんも不安になるんです。保護者の田瀬は一人でお留守番するより、入園した方が寂しさを感じさせないと考えていると思います。
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