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おばあちゃんとリクの里

やっとの休みだ。

どんちゃんにご飯をあげて、自分の朝ごはんも済ませて電話ができる時間まで待つ。


「んしょんしょ」


今日も歩く練習をしているどんちゃん。

昨日より歩きがスムーズになってきてる。


「どんちゃんお手て繋いでやってみようか!」

「あい!」


どんちゃんの柔らかい前足を掴みしっかり支える。

一歩一歩しっかり歩いてもらって私も一歩一歩下がる。

意外と腰にダメージが来るな。


「かぁたん!離してみて!」

「大丈夫!?」

「大丈夫!」


そっと手を離すと両手でバランスをとって立つどんちゃん。

一歩踏み出して止まる。また一歩踏み出して止まる。


「歩けてる!!歩けてるよどんちゃん!」

「僕しゅごい!!」


恐る恐るだった歩みが自信がついたのかしっかりした足取りになってきた。

私はいつ倒れてもいいように手を広げていた。

てちてち歩くどんちゃんが可愛くてスマホを取り出し、動画を撮る。


「僕これから歩く!」

「いいとおもうよ!」


二足歩行でベッドから絵本を取って座り込んで読み始めた。猫背が気になったので、

どんちゃんに子供用のイスを買ってあげてテーブルで読むようにするか。


十時になり電話が出来る時間になったので、電話をしようとスマホを持ったが、本当に大丈夫か?

どんちゃんが喋れる事は誰にも言ってない、言えてないが正しいか。

言って変に思われるのは、覚悟はできたが、どんちゃんのためになるのか・・・。

私は一つ深呼吸をして番号を入力する。何かあったら私が守ればいいのだ。

一コール一コールが長く感じる。私の心臓は事を急かすように鳴る。


「お電話ありがとうございます。リクの里の高橋です」

「あ、あのネットで喋れる犬を見て・・・」

「はい」


私の愛犬も喋れるんですが言えない。

少しの沈黙に高橋さんはゆっくり待っていてくれる。


「愛犬がお喋りになられたんでしょうか?」

「あ、そうです・・・」


道しるべを出してくれて、やっとのことで言えた。


「今日見学に起こしいただけますか?」

「え、今日ですか?大丈夫ですけど・・・」

「実際見て頂いたほうが早いと思うので」


善は急げという。

十四時に予約を入れてしまった。

二十分の電話があっという間に過ぎた。心臓はまだ鳴り響いている。

まずどんちゃんに説明しなきゃ。

ひつじのぬいぐるみを両手で抱きしめよちよち歩きしていた。


「どんちゃん何してるの?」

「さんぽ~」


自転車あぶないからね~とひつじのぬいぐるみに言いながら歩いている。

この前の散歩のときに私が言ったことを真似てるらしい。


「どんちゃん今日おでかけしようか」

「おでかけ!する!」


てちてち歩いて私のリュックの中に絵本を入れる。

電車で行くので読めないけど、入れるだけなら大丈夫か。


「このボールも持って行ってもいい?」

「いいよ~」

「どこ行くの?」


なんて説明をしよう。

未だに騙されているのではと感じる部分があるなかでどんちゃんに説明するには、自分が先に納得してないと難しいな。

サイトを覗いて、「突然愛犬が喋りだしたら」とのタイトルの日記があった。昨日は慌てていて見つけれていなかったらしい。


愛犬が喋りだしたらその子が持っている魔力が成長している証です。

姿形は違えど、人間と共存するため魔力が強くなります。

全員がなれるわけではないのです。

魔力を持って生まれる仔は六十頭に一頭位だといわれております。

魔力があるから魔法が使えるというわけでもございません。

リクの里ではそいった子の成長と魔力増加などのお手伝いをします。

何かご不明な点があればご連絡してください。


不明な点だらけだ。魔力?

どんちゃんを見るが、ぬいぐるみに自分の首輪を着けてリードで引っ張ってずるずる引きずって散歩の真似事をしていた。


「今日はおでかけだから行くよ~」

「ぬいぐるみ汚れちゃうよ~」


十二時半になったので、行く準備をする。

リュックにはどんちゃんの絵本とお水が入っているのを確認して、財布とSuicaを入れる。


「ぬいぐるみも持っていく!」

「じゃリュックの中に入れるね」


ぬいぐるみから首輪とを取りリュックの中に入れる。

どんちゃんに首輪を着けて完成だが・・・


「かいじゅうさんのお洋服も着る!」

「わかったわかった」


最近我儘が酷くなってきたなと思うが、どんちゃんのしたいようにするのが良いのか悪いのか。

躾のことも考えないと、大人になったときが困るので今日相談出来たらしてみようとメモ帳に書いた。

どんちゃんをキャリーケースに入れて、前に抱え込んで、背中はリュックを背負い玄関を開ける。


電車が来るまでどんちゃんはどこに行くの?絵本読んで!と言うので


「静かにしたらボロボロあげる」

「やった!静かにする!」


電車に乗りリュックを足元に置いて座る。

日に日に重くなってるように感じる。

隣におばちゃんが座り少しずれる。


「かぁたんボロボロ何個?」

「今日は十個かな」


「その子は喋れるのね~」

「え、あ、はい・・・」

「いい子ね~」


おばあちゃんの発言に驚きを隠せなかった。

どんちゃんの言葉が分かるようになったのか、どんちゃんが聞こえるようにしたのかそれが分からず変に動悸が止まらない。


「おばあちゃん僕ね静かにしてたらボロボロ貰えるんだ!」

「そうかいそうかい良い子にするんだよ~」


普通に会話をしているのを見ているとどんちゃんも楽しそうに喋っている。

私以外と喋ってなかったからだろう。


リクの里の最寄りに着いたので、リュックを背負っておばあちゃんにありがとうございました。と礼を言う。どんちゃんもキャリーケースから「おばあちゃんバイバイ!」と元気に溢れたように伝えるとおばあちゃんは「元気でね~」と返してくれた。


徒歩三分くらいの所にリクの里がった。







最後まで読んでいただきありがとうございます!

今回は少しファンタジー要素を入れてみました!

皆様のブックマークといいねお星さまレビューお力添え頂ければ幸いです!

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