後輩が出来たが人見知りなのです
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「昨日はすみませんでした」
「大丈夫かい?」
鍋下さんに謝罪を言い、業務に取り掛かる。
昨日休んだ分取り返すように仕事に熱が入る。
「今日面接あるらしいよ~」
「そうなんだ」
決まりますかね?と作業しながら聞く。
人員不足なので常に募集をかけている。
入ってもすぐ辞めてしまう人も多くてやりがい接収な所もあるとは思う。
半年務めて何人も辞めていくを見たら副店長のパワハラだったり、給料が少ないと言って辞めていった。
ペットショップは憧れの職業でも上位に入ると思ったけど、実際は違うのかもしれない。
「鍋下さん田瀬さん!今日来た面接の子採用したから!」
「いい人ですか~?」
「二十歳で若いけど、しっかりした印象だったよ」
鍋下さんが顔をしかめながら聞く。言葉の裏にまた辞めるのではという気持ちが隠れている。
店長はたまに癖の強い人を採用することがあり、先輩たちは振り回された挙句辞められるその繰り返しらしい。
私は今回の人が初めての後輩なのですこし警戒している。
初出勤は明後日らしいのでそれまで自分のペースで仕事出来ますようにと願う。
帰宅して軽くご飯を食べてシャワーに入る。
どんちゃんは黙々と絵本を読んでいる。少しずつ日本語を覚えてきたので駄々を捏ねるのも流暢になってきた。
「かぁたんも桃から生まれたの~」
「げっつようび~」
絵本を与えれば与えるほどどんちゃんの語彙が増えていくのが楽しくてならない。
かぁたんていう単語も何れはお母さんに変わってしまうかもしれない。
「かぁたん!一緒に動画観て、絵本読も!」
「はいよ~」
飽きずに動画と絵本を楽しそうに準備する。
ひつじのぬいぐるみも忘れずに持ってくる。
眠る前に読むであろう絵本をチョイスして流す。
「そいえば、明後日新しい人が働くよ」
「そーなの?」
「すぐ辞めないでくれたら嬉しいな」
絵本の音読を再開したどんちゃんの頭を撫でる。
ピコんと音がしたのでスマホを見る。
「だれから?」
「んー大丈夫だよ」
セフレからだった。「電話したい」その一言だった。
私は明日早いから寝ると送りスマホを置いた。
返事してればこの家に来ないだろうと思い返事する。内心嫌なドキドキを感じる。
もう来ないでほしい・・・早く縁を切りたい・・・。
最初はかっこよく見えていたのが不思議だった。恋は盲目とはいうものだ。
今はどんちゃんがいてくれるだけでいい。
「どんちゃん寝ようか」
「はーい!絵本読んでね!」
いつも通り絵本を持ってベッドに潜り込む。
どんちゃんが寝るまで絵本を読んであげて私も知らないうちに寝てた。
今日は新人が来る日だ。
女性とだけ聞いているので、幾分気が軽い。
担当部署どこになるんだろうか。管理は鍋下さんと私なので管理には来れないだろうからCAか商品、小動物だと思われる。人見知りの私には一大事イベントだ。
「おはよう田瀬~」
「おはようございます」
朝弱い鍋下さんが出勤した。
最初は怖かったが、十一時位には目が覚めて機嫌が普通になるのを私は気づいてから楽だった。
店長は新人さんを迎えに行ったらしい。
「変な人じゃなければいいんだけど」
鍋下さんがボソッとこぼす。
私も内心そう思っていたので心で同感の気持ちを言いたいがやめといた。
「こっちが生体管理でCA部長の鍋下さんと管理の田瀬さんだよ」
「柊ですよろしくお願いします」
店長と背が高い女性が管理室に入ってきた。
噂の新人は背が高く、洗練された人だった。
「よろしくお願いします」
鍋下さんと同じタイミングで頭を下げる。
「柊さんにはCA担当でお願いしようと思うからフォローお願いね!特に田瀬さんは初めての後輩だからね」
一言余計だなと思いながら「わかりました」とだけ返す。
少し不愛想に見えてしまったか心配したが、もう遅いと思ったので気にしないようにした。
二人は管理室から出ていき、鍋下さんが作業しようかと何もなかったように業務に戻る。
「田瀬さん表に柊さんいるから表の仕事教えてあげて」
「加藤さんはいないんですか?」
「加藤さん今接客入ってる!」
私は急いで表に行くと何していいか分からない様子の立っている柊さんに話しかける。
「田瀬ですよろしくお願いします」
「あ、よろしくおねがいします」
「加藤さんからどこまで教わったか分かりますか?」
私が新人の時先輩が忙しくしてるのにただ立っている事しか出来ない自分が恥ずかしかったのを今でも覚えている。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
自分の後輩が出来ました!
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