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悩ましい事態

朝六時の目覚ましで起きて止めようとスマホを手に取る。

アラームを止めてメッセージが来てないかメッセージアプリを開く。

残念ながら誰からもきていない。

セフレにもこちらからは返事をしていないので返ってくることはない。


「どんちゃん起きて~」

「う~ん」


前足で眼をごしごしとして起きたどんちゃんを撫でまわす。


「かぁたんおはよ~う」

「おはようどんちゃん」

「ぬいぐるみがない!」


ない!ない!と騒いでいるので、多分ベッドから落ちているんだろうなとベッドから下りたら案の定ひつじのぬいぐるみが落ちていた。


「落ちてるよ~」

「かぁたんありがとう!」


どんちゃんもベッドから下りてぬいぐるみを咥えてご飯茶碗まで持っていく。

私はどんちゃんのご飯を入れてあげた。


「いただきまーす!」

「はいよ~」


私は顔を洗いに洗面所に行き、洗顔をする。

軽くメイクをして、お弁当用の卵焼きを作る。


「ごちそうさま~」

「お粗末様です」

「かぁたん絵本読んで~」


絵本にハマったのか足元で後ろ足二本で立って私の足にしがみ付いていた。

その姿が可愛いのだが、時間があったらいいのだが、生憎ない。


「ごめんね帰ってきたら読んであげる」

「えー」


私はテレビのリモコンを取り、昨日の桃太郎を流してあげる。

どんちゃんはすぐテレビの前に座り観始める。

ぬいぐるみがない!って言うのでぬいぐるみを横に置いてやる。


「どんちゃん仕事行ってくるけど、いい仔で待っててね」

「僕テレビずっとみてる!」

「テレビに近づかず、離れて観るんだよ」

「かぁたんいってらっしゃい!」

「行ってきまーす」


今日はテレビを点けたまま仕事に初めて行くので少し不安だが、何もないより暇つぶしになるだろう。

自転車に乗り、朝日を浴びながら出勤する。

少し暗い雲があったので、雨降るかなと気になったが自転車を漕ぐ。


「そいえばどんちゃん去勢する時期じゃない?」


鍋下さんにそう言われ一瞬固まる。

確かに半年過ぎてるので時期的には今がちょうど去勢手術する時期だ。

何歳になっても去勢は出来るが、睾丸があることで起こる問題行動が抑えられる。

今の段階でどんちゃんはマーキングもないし、マウントは少しあるが困るほどではない。

去勢したことで性格が変わることがあるといわれている。

今のどんちゃんでいてくれるだろうか・・・。


「性格ってどんな風に変わりますかね?」

「まぁそんな劇的に変わるんじゃないんじゃない?私も犬飼ったことないからわからないけど」

「そうですよね・・・」

「防げる病気もあるからしたほうがいいよ」


鍋下さんに言われてからずっと考えいたが、考えれば考えるほど、どっちが正解か分からなくなった。

どんちゃんが話せなかったら去勢していたが、話せるどんちゃんを無理やり去勢するのは違うように感じ、どんちゃんの意思を尊重したかったが、どんちゃんに理解できるのか・・・。


十八時半に仕事を終えて、帰宅途中信号が赤になったのを見つめる。

一日考えたが正解を出せないでいる。

信号が青になるのが早く感じる。いつもは遅く感じるのに。暑さもいつも以上に鬱陶しく感じる。


家に着き駐輪所に自転車を停める。

階段を上がり二階に着いたと同時に誰かがいるのが見えた。


「お、おかえり」


一番会いたくないセフレが私の部屋の前に立っていた。

「誰かいるよ!だれ!」とどんちゃんの声が聞こえる。


「お前犬飼ったの?すんげぇうるさいんだけど」

「帰って!」


私の精一杯の声が夜を割いた。

家にまで来るとは思わなかった。

そこまでの仲でも無かったはずだ。

私が勝手に片思いをして私が終わらせた関係にしがみ付くほどこの男は真剣に私と向き合ってくれなかったはずだ。


「まぁ怒らず家に入れてよ暑くて」

「もう帰って!」


何度言えばこの男は帰ってくれるのか私は焦っていた。

暴力は振るう人ではないが、どこかモラハラな部分があったが、家に無断で来る人ではなかった。

夏のジメジメとした暑さか緊張かどっちかわからないが、首に流れる。


「かぁたんいるの?」


どんちゃんの声が聞こえる。

どれだけこの男が家の前で待っていたが分からないが、怖い思いをさせてしまった。


「帰ってくれないなら警察呼ぶ」


意思の固さを感じたのかそれともただ警察が怖いのか溜息をついて「連絡は返せよ」と私の横を通って階段を下りる音が聞こえなくなるまで私は動けないでいた。


「かぁたん!大丈夫なの!?ねぇ!」


どんちゃんの声で我に返る。

急いで鍵を開けようと鍵穴に挿そうとしても手が震えて上手く挿せない。

やっと開けれたドアからどんちゃんが飛び込んできた。


「かぁたん大丈夫?怪我無い?」

「大丈夫だよどんちゃん怖かったよね」

「僕は大丈夫だよ!ずっとドアの前に誰かが居ただけ!」


どんちゃんを震える手で抱きしめる。

何もなくてよかった。どんちゃんが無事でいてくれて良かった。

ちゃんと片付けないといけないとダメなんだと、どんちゃんから勇気貰うようにぎゅっと抱きしめる。










最後まで読んでいただきありがとうございます!

今回ちょっと悩ましいエピソードになりました。


皆様のブックマークといいねお星さまお力添えいただければ幸いです。

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