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胸が痛くなる

第一話

https://syosetu.com/usernoveldatamanage/top/ncode/2444029/noveldataid/24209143/



バス通勤から自転車通勤に変えてから夏のジメジメ感を全身に感じながらペダルを漕ぐ。

通勤途中に踏切があるが、踏切を超えようとする人が多いので、一回見送ることもある。

その間この列車に飛び込めば仕事場に行かなくて済むのではと良からぬ事を考えてしまうメンタルだ。

踏切の棒が上がっていくのを見ながら行かなくてはと先を急いだ。

踏切から15分くらい自転車を走らせていけば私の職場のモールだ。

自転車を自転車置き場に止めて入館所カードを40代位の警備員の方に提示して入館していく。

大型ショッピングモールの裏側を見れて最初は楽しかったな~

そんなこと思いながら私の職場に着いた。「ペットショップこころ」今の時刻は八時十五分

生体管理の部署に配属させてもらっているので朝は一番早く出勤してカギを開ける役でもある。

開けると子犬たちのご飯ちょーだいアピールなのか10匹が犬舎から吠えてる。

半日しか経ってないのに糞やおしっこで部屋が汚い。朝の犬舎掃除担当は大変だなと私は店の明かりをつけるためレジにある照明スイッチに手を伸ばした。

私の部署は犬猫の生体管理。体調面や朝の犬舎掃除で出たトイレの掃除、電話対応、検便、投薬などなどある。私がまずすることはご飯をふやかすこと。八時半出勤だが、ご飯をふやかすため半からだと間に合わないので私も先輩も八時十五分くらいから用意して制服に着替えて八時半を待つ 現在の時刻 八時二十分 時間外労働は暗黙のルールみたい。

椅子に座り溜息一つ。夢のある職業の一つだと思う。私も受かるとは思わず驚いた。

私の仕事は犬猫の健康管理を主としているが、電話対応に時間をつぶされる 今日は私の仕事をさせてほしい。気づけば時計の針は三十分を指していた。


一頭一頭ふやかしたご飯をあげていく。

量の配分が難しいが、頭のサイズであげれば大丈夫だよと教えてもらったので参考に与えていく。


「田瀬さんおはようございます~」

「竹本さんおはようございます」


九時出勤の竹本君が来てくれた。

年下の彼だが職場では先輩なのでお互い距離感掴めずにいるのだ。

今日は平日なので出勤する人は少ないが回せると思ってこのシフトにしたんだろう。

今日はあの人も出勤するし、今日は何話せんのかな・・・

私は浮かれながらも子犬子猫にご飯を与え終えた。


あとは裏方にいる子犬子猫に与える。

私の部署は一人狼みたいなボッチで淡々と与えていく。

その中でシーズーの男の子がご飯をたべないので、どうしたんだろう。

お腹が痛いとかで食欲不振に繋がるけど、ウンチは良好だな・・・。

缶詰変えてあげてみよう。

ササミチーズ混ぜるかと思いプラスで電子レンジで温めて匂いを漂わせている


「はい シーたんこれなら食べれるでしょ?」

「クゥーン」


前日私はお休みを貰っていたのでこの子のカルテを見てみる

まだお店に来たばかりの仔だからストレスかなと思う。

昨日も食べても一口二口くらいしか食べてない。このままいくとシリンジという注射器みたいな器具であげないといけない・・・。

この仔は後回しにして他の仔のごはんあげよう。時間がない。


「田瀬~おはよう」

「あ、鍋下さんおはようございます」


救世主の鍋下さんが出勤してくれた。

鍋下さんは同じ部署で大先輩で憧れているけど、朝が弱すぎて機嫌が悪いのが難点な所。

11時位になれば機嫌は戻っていくのを私は知っている。


「今日の進み具合は…まだまだだね」

「ごめんなさい 食が細い仔ばかりで手間取りました。これから掃除に入ります」

「シーズーとか食べないでしょ?」

「そうですね」

「一回糞を顕微鏡で覗いてもいいかもね。田瀬さんやってきて」


掃除は鍋下さんがやってくれるらしい。

私じゃ遅いし、顕微鏡に慣れないといけないのだ。

シーズーからウンチを取らせてもらいその間もシーズーは下を向いていて可哀そうに見える。

私はこの仔を見ると何故か胸が痛くなる。

働いて三か月可愛い仔にはいっぱい会ってきたけど、胸が痛くなるのは初めてだ。


開店前の部屋掃除をしている竹本さんたちを通り抜け顕微鏡のある部屋へと急ぐ。

顕微鏡を覗いても虫も卵もなにもいなかったので一安心した。

お母さん兄弟から離された寂しさからくる食欲不振かもしれない。


今の時間九時四十五分 朝礼が始まる時刻だ。

私は急いで鍋下さんに伝えに行って、お昼ご飯食べなかったら病院の先生に電話しようとなった。


「朝礼始めまーす」

いつの間にか出勤してた店長の声でみんなぞろぞろと犬猫広場に円を描いて立っている。

朝の犬舎掃除組は汗だくで汗を制服で拭いていた。

私はみんなとは違う意味で汗だくになりそうだった心臓が耳元にあるかのように高鳴っていた。


「今日は別店舗からの応援で落合さんが来てくれたのでサポートしてくれると思うので期待しています」

店長に肩を叩かれ恥ずかしそうに「善処します」と彼らしい返答に胸が痛くなった。


あの後各部署からの伝達と挨拶の復唱で九時五十五分 開店まで五分

私は裏方に戻り掃除を開始する

シーズーはしょんぼりしたように部屋の角にいた。なんでだろうこの仔が気になる。

この仔は新しい環境に慣れずに不安に思っているのかもしれない。最近まで母犬や兄弟と一緒にいて急に離れ離れになってそれだけでも辛いのに一生会えない・・・。


「一匹に気を持っていかれないようにね。他にも子犬子猫いるし、なにより業務を進ませないと」


鍋下さんからの忠告を受け、自分の仕事に戻ることにした。

朝の犬舎掃除で出た汚れたトイレを手作業で洗っていく糞が踏み荒らされていてメッシュの隙間で固まってるから洗うのに時間がかかる。一時間はトイレ掃除に費やすこともある。

働き始めて三か月ノルマもあるし、最低賃金だし、何が楽しくてトイレ洗ってるんだろうか。

私には落合さんがいなかったら即辞めてたと思う。

落合さんは私が初めて契約した時カバーに入ってくれて

「田瀬さんすごいですよ!!今いる犬猫の中で一番値段高い仔の家族決めてくれたんだから!」

私が接客したお客様がいい人だけで私自身の力を感じなかったけど、全面的に褒めてくれる貴重な人だ。

いつからだろう異性として見始めたのは・・・今日は胸が痛いのが多い気がする。


























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