夢?
「ねぇ~起きてよタケル~」
朝、いつも通りタケルを起こそうとするんだけど、いつも通り起きないタケル。
布団に巻かれたタケルを転がすように揺らすけど、全然起きないんだ。
「タケル~早くしないとお母さんが叩き起こしに来るよ~」
「…あと5分…」
モソッて動いたと思ったら、そんな事を言って動かなくなった。
これもいつもの事だけどね。
「も~!遅刻しても知らないよ!」
僕は強めにタケルに言うと、朝ご飯を食べにタケルの部屋を出た。
僕がご飯を食べ終わってもタケルは来ない。来る気配も無いんだ。
部屋に戻ると、予想通りタケルは布団に巻かれたままだった。
僕はため息を一つついて、タケルをほっといてガッコウに行く準備を始めることにした。
「そろそろお母さん来るよ!」
無駄だと思うけど言ってみる。
「・・・・・」
やっぱり返事がない。
いつもの事だけど…
「もぉ知らないからね!」
僕が言った後、足音が聞こえ出す。
お母さんだ。
「岳琉!早く起きなさい!遅刻するわよ!」
バンってドアを開けてお母さん登場。
タケルの布団が剥ぎ取られて、頬っぺたペチペチ叩かれてる。
言わんこっちゃない。
タケルがやっと目を開けた。
そして、時計を見るなり…
「うわ!こんな時間!何でもっと早く起こしてくんなかったんだよ!」
一気に目が覚めたみたいで、そんな事を言いながら飛び起きた。
あんなに何回も起こしたのに!
「何回も起こしたよ!あと五分とか言って起きなかったじゃんか!」
ウ~って僕が唸ると、タケルは「ご、ごめん」って言ってしょんぼりする。
「とにかく早く着替えてよ。僕まで遅刻しちゃうじゃん」
着替え終わったタケルに、僕が一緒に用意しておいたランドセルを渡して急いで家を出る。
・・・・・
ゆっくり目を開ける。
部屋の中はまだ暗かったけど、目の前にタケルの寝顔がある。
それに安心した僕は、タケルの鼻の頭をひと舐めして目を閉じる。
・・・・・
次に目が覚めるといつもの時間だった。
何かすごい夢を見てた気がしたけど、あんまり思い出せない。
タケルを起こそうとした夢だった気がしたんだけど、なんか違ったような気もするし…。
まぁいっか。タケルを起こさなきゃ。
これは果たして夢なのか…それとも…