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子狼と少年と  作者: 陸斗
3/13

日常

「クー!こっちコッチぃーッ!」


あれから暫く経って、僕の怪我が殆ど治ると、外に連れて行って貰える様になったんだ。

そうすると、小さい方、多分『タケル』って呼ばれると良く何処かに行ってたから、名前だと思うんだけど、一緒に遊ぶ様になったんだ。

んで、僕はいつの間にか『クー』って名前で呼ばれる様になったんだ。


遊びに出ると、何時も草原みたいな広くて、フカフカした草がいっぱい生えてる所で遊ぶんだ。

タケルが投げる丸くて柔らかい玉を取りに行ったり、タケルにじゃれ着いたり、色々遊ぶんだ。


いつの間にか友達と言うか、家族の様にタケルとは仲良くなってた。


だって、タケルが居る事が当たり前になってるんだもん。

何時も側に居て、遊んでくれるし、甘えさせてくれるんだ。



もっと時間が経つと、言葉は解らないけど、何と無くタケルを見ていると何でも解る様な気がしたし、タケルも僕の事を解ってくれてた。



でも、ある日から突然、明るい間は居なくなるんだ。

だから僕だけの孤独な時間が増えた。

何もする事が無くて凄く寂しかった。



「クー!ただいまッ!」


タケルが戻ってくると、必ずと言って良い程、僕はタケルに飛び付いた。

そうすると、優しく抱きしめて頭を撫でてくれるんだ。

暖かくて、タケルの心臓の音が、トクントクンって聞こえて、物凄く安心するんだ。


この時が1番好き。あ、でも、一緒に寝るのも好き。

後、お風呂に一緒に入る時も好き。だけどお風呂で一回失敗した事があるんだ…。

タケルが僕の体を洗ってくれたから、僕も洗ってあげようとしたら、爪を引っ掻けちゃって、僕みたいに毛が生えてなくて、スベスベな背中に怪我させちゃった事があるんだ…。

幸い大した事無くて安心したけど…。



タケルがいつも居なくなってしまうのは、『ガッコー』って言う所に行ってるからみたい。

良くそう言ってるから合ってると思う。

どういう所なんだろ?今度コッソリ着いてってみようかな。そしたら驚くかな?

明日試しに着いてってみよう。


その日はウキウキしながらタケルと布団に入ったんだ。

タケルがどんな顔して驚くかな?とか考えながらね。



「それじゃぁ行ってくるね」


何時もの様に、タケルは僕を抱っこした後、そう言って手を振りながら出てく。

僕はコッソリその後を着いてく。

何かガッコーに行くのに、色んな所を曲がったり、色んな人間が居る所を通って行くんだ。

僕は初めての景色にキョロキョロしながら歩いてた。



「わぁ〜可愛い!子犬じゃない?」


たまに知らない人間に構われたりしたけど、タケルに着いて行きたいから、余り相手にしない様にして、見失ったら匂いを辿って、タケルを目の届く位置にしておくんだ。




゛…何でこうなるんだろ…゛



ガッコーっぽい所に着くなり、僕は人間達に囲まれた。


「可愛いッ!」

「子犬?」

「のら?」

「私飼いたい!」


何か…凄い騒がしくなっちゃったんだけど…。どうしよ…


゛タケル…恐いよぉ…゛


゛タケル…助けて…゛


知らない沢山の人間に囲まれて、タケルの姿が見えなくて、凄く恐くなって来て…。

おろおろする僕。ひょいと抱き上げられて、驚いて振り返るとタケルだった。


「クーッ!駄目だろ着いて来ちゃ!」


軽く頭を叩かれて怒られるけど、それも凄く嬉しかった。

だから僕は、必死にタケルにしがみついた。


゛恐かったよぉー゛


゛恐かったよぉー゛


タケルに叫ぶ様に言った。

そしたらタケルも解ってくれたみたいで、僕を人間達の中から解放してくれた。



「クー、何で着いて来ちゃったんだよぉー。何時もは家でちゃんと待ってるんに…」


タケルが困った顔をしてる…。

どうしてだろ?

僕が着いて来ちゃったから?


「一人じゃ帰れないだろうし、心配だからなぁ…。先生にダメ元で言ってみるよ」


タケルは溜め息をつくと、また僕を抱き上げて移動し始めた。

読んで頂き有難うございます。


ちまちまと書いていたら、前回から三ヶ月も経ってしまいました様で…ι


こんな亀更新ですが、付き合って頂けたら嬉しいです。

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