とりあえず
僕たちは今、タケルの部屋に居た。
お母さん達には気付かれないように、そーっと部屋に戻ってきたのだ。
「タケル…どうしよう…」
いきなり過ぎて喜ぶとかそういうのは無くて、どうしようっていう気持ちしか出てこないんだ。
本当なら嬉しい筈なのに、僕のことなのに信じられなくて、夢なんじゃないかって思っちゃっててどうしたらいいのか分かんない…。
「本当にクーなんだよね?」
「うん。僕も信じられないくらいだけど…人間になっちゃったみたい…」
「まあ、尻尾と耳がクーのとそっくりだから…信じるしかない…よね?」
タケルが耳を軽く引っ張ってきたり、尻尾をにぎにぎしてきたりしながら言ってくる。
ちゃんと本物か調べてるみたい。ちょっとくすぐったい。
「ってか、人間になったんなら裸じゃ寒いだろうからこれ着て」
タケルが服を渡してくる。
何回かタケルが着てた、見覚えのある服だ。
たしかにさっき外でいきなり寒くなったけど、人間ってフワフワがないからそういうことだったんだ…。
「着方は分かるよね?」
「うん。毎日見てたから大丈夫!」
タケルは心配そうに見てたけど、大丈夫だよ。
上は、首を通す穴に付いてる《たぐ》が後ろに行くように被って、腕を横の穴に通せばいいんだ。
ズボンは足を突っ込めばいいはずなんだけど…あれ?これ前と後ろどっち?どっちでもいいんだっけ?
「あーこれはコッチが前。おしっこする時ちんちん出すとこだから」
「なんか色々凄いね。服って」
「そうかな?いつも着てるから分かんないや」
タケルが笑いながら言う。
そしてズボンに足を通して上げるんだけど、最後に…
「尻尾どうしよ?」
って僕が言った瞬間…
「ぷッ…!半ケツ!」
いきなりタケルが体をプルプルさせて布団に顔を突っ込んだ。
なんか、すっごく笑ってる気がする。
「半ケツってなんだよ!そんな笑わないでよ!」
あんまり大きい声を出すとお母さんたちにバレちゃうから、タケルは声が出ないように布団に顔を突っ込んでるんだろうけど、なんか体がプルプルしてるから笑ってるって分かる!
「だってお尻半分以上見えてる!」
ちょっとだけ顔を出して言ってくる。
ってか、知ってる!タケルのこの顔!泣くほど面白いやつ!爆笑だ!
僕は、そんな笑われると恥ずかしくなって尻尾ごとズボンを履いた。
それから、また布団に顔を突っ込んでお尻をこっちに向けたままプルプル爆笑してるタケルのズボンを一気にズリ下ろした。
「ちょ!クー!何するんだよ!」
「爆笑した罰!」
「このやろー!」
タケルはズボンを上げると、僕の腕を引っ張って布団に倒して上に乗っかって来た。
「僕だって負けないぞ!」ってドッカンバッタンじゃれあってたら…
「岳琉!五月蝿いよ!早く寝なさい!」
当然お母さんがタケルの部屋に怒りに来た。
さて、人間になったクーちゃんですが、やっぱり一番最初は服を着ないとねって事で服を着せました。
んで、まるっきり人間になりきっちゃってもつまらないので、耳と尻尾は残した獣人スタイルで行くことにしたので、尻尾事情も何となく入れてみたくてやってみました。
狼の尻尾はモッサモッサしてるイメージがあるのでズボン上げ切らないと半ケツかな~って勝手な解釈をブッ込んでます。
さて、早速母に見付かりそうになってますけどどうなるんでしょ?
明日に期待!
ってぇことです(笑)
でわでわノシ




