一話 【人が変わるなんて、よくあることだよ。俺は変わりたくなんてないけど】
無口で、無愛想で、毒舌。
そのように俺は認識されている。
あながち間違ってはいない。間違っていてもそれを直そうなんて面倒くさい真似、しようとも思わない。
俺はただ、“人と関わることが面倒くさいだけ”。
それ以上でもそれ以下でもない。
他人と深く関わるなんて出来る限り、いや絶対にしたくない。
「関わったところでいいことなんて一つもないんだし……」
はぁ……とため息をつく。
キーンコーンカーンコーン
授業の終了のチャイムが鳴った。
ところでここは学校の屋上だったりする。教室なんて人が多いし、クラスの連中が話したくもないのに話しかけてきて非常に面倒だから俺はいつも屋上でまったりと空を見ながらぼーっとしたりしている。
「よぅ、またここでサボりか?」
ふと、入り口の方から声がしたのでわざわざ起き上がってそちらを見ると、なんとまあ毎日ご苦労様と言いたくなるほどに俺に執拗に話しかけてくる唯一の人間がそこでフレンドリーに手を振りながら立っていた。
「また、お前か……」
面倒くさそうな感じを前面に出しながらそういうとそいつは苦笑しながらこう答えた。
「何だ?俺じゃあ不満か?何なら可愛い女の子でも連れてくるが」
「いや、いい」
そのように俺が切り捨てるとその会話は終了する。あとはこいつがたまに話しかけてきたりだとかでなんというか暇な奴だなぁ、と思ったりする。
「あ、そういえばな」
そう話を切り出したそいつに無言で目線だけずらす。
「お前に話があるって奴がいてな、今日の放課後、教室に来てくれだとさ」
「何だよ話って」
「さあ?俺もそこまでは知らん。俺はただ頼まれただけだしな」
「ふぅん……」
まあその時は、何にも疑問には思わなかった訳で、とりあえず行ってはみようかなと安易な気持ちで放課後、教室に向かってしまったのだった。
よく考えれば、誰なのかすら聞いていないし、なにが目的かなんて全然知らなかったのだ。
その後、俺は激しく後悔することとなる。