外が見えない観覧車
今日は遊園地デート。
ずっと胸が騒いでる。
午前中からずっと幸せだ。
夜になって観覧車に乗ることになった。
「ゴンドラにも色んな種類があるんだね?」
「カップルボックスでしょ。ノーマルボックスでしょ。あと、クリアボックスもある。それに、ブラックボックスもあるね」
「一番気になったブラックボックスにしようか」
上からやってきた観覧車には、観覧車なのに黒い布がしてあった。
おそるおそる、指示されるがままに足を踏み入れる。
扉が閉ざされると、窓が塞がれていて、外も外の光も見えなくなった。
天井に付いている照明だけがある世界。
とても不思議な感じがした。
観覧車と名が付いているのに、風景が分からない。
風景が分からないだけでなく、頂点も分からない。
それに、終わりも分からない。
まさに、二人だけの世界。
空中に広がる二人の宇宙。
二人だけで前に進んでいるような、不思議な感覚がした。
「今日は楽しかったね」
「うん。明日は何する?」
「何しよっか?」
話も自然と増えていった。
アナウンスがあり、二人だけの世界は終わりを告げた。
自然と距離は縮まっていた。