第1話 魔物
短めに作りましたが読んでいただけるとありがたいです。
前話から一気に数年進んだ話になっています。
ーーー謎の森ーーー
木々の生い茂る深い森でダークグレー色の髪を持つ青年は寝ていたが、ズン…ズンと腹に響く轟音が遠方から聞こえる音で起きることになった。
「(初めて負けた日の夢を見るとはな…それにしてもこんな夜更けにこの危険な森で派手に戦闘をしている馬鹿がいるとは…)」
青年は呆れ果てていた。
この森は【古代の森】と言われる場所で【大崩壊】が発生する前、旧時代と呼ばれる時代の異物や全知的生命体の敵、魔物が数多く生息する。最後にこの森は地球最大の森となっている。
遠方から聞こえる轟音は一向に止む気配がない。しかないなと呟きながら遠視魔法を使用した。
「ハァッハァッハァッ……あなた…だけでも逃げて」
過呼吸状態の銀髪美少女は親友とも呼べる褐色肌の亜人美女に逃げろと促すが、
「ッ!馬鹿なことを言わないで!」
彼女たちが必死に逃げている後ろには数え切れないほどの魔物の群れだった。
その光景を見ていた青年は
「うわー…なにあれ、めんどくさいのに追いかけられてるなぁ…」
盛大にため息をついて弊癖していた。
彼女たちが今追いかけられている魔物はキラーアント、全長は1m前後で一匹程度なら雑当然の魔物だが厄介なのはその習性。アントの名の通り大群での行動が基本の為、一匹見つけた場合最低でも数百は下らない。
そして彼女たちに群がっているキラーアントは万単位は軽く届くほど大量にいる。
なにより自分の方に向かってきている。仕方ないのでキラーアントから逃走中の彼女たちに通信魔法を繋げられるよう試みる事にした。
『て……す……てすてす、聞こえているか?キラーアントから逃げているお二方。聞こえたらチャンネルの固定して応答してくれ。』
突然の通信魔法による呼びかけに困惑した。一応、謎の男からの通信魔法に鬼人美女が応答した。
『聞こえています!何でしょうか、駄弁っている暇はないのですが!?』
『おー、聞こえてたか。お前たちの今の状況は遠視魔法を介して見ている。助けてやろうか?』
亜人美女は耳を疑った。基本的に人は面倒ごとを嫌う、だから通信魔法で『助けてやろうか?』と言う言葉を疑った。
『正気か?後ろの大群も見えているのだろう?!』
『正気だよ。助かりたいなら銃声後即座に、伏せろ、俺の魔法に巻き込まれたくないならな。』
ブツッと音が鳴り通信魔法が途切れた。
「さて、殺るか。」
気怠そうな声とは裏腹に彼の表情は凶暴な笑みを浮かべていた。そして何処からともなく長大なスナイパーライフルが出現した。旧時代では対戦車ライフル又は対物ライフルに分類されるスナイパーライフルである。
「(超長遠距離対応の銃はこれしかなないし、キラーアントの、以外に硬い甲殻もこの銃なら貫けるしな。)」
対物ライフルに付いているバイポットを立てて地面に固定し自分は地面に寝そべるように構える。距離は約5㎞、スコープを調整し、
「連撃雷弾」
使用する魔法を選択する。すると銃身に稲妻が走りそして雷を纏った弾丸を発射した。
遠方からバンと銃声が聞こえた瞬間、親友の美少女の腕を掴んで鬼人美女は地面に共に伏せた。するとバゴンッッッと轟音が連続して鳴ってはいたが彼女たちは頭を上げることが出来なかった。
「鳴り…止みましたか?」
「ええ、そのようです。」
鬼人美女は銀髪美少女に手を差し伸べて起き上がらせ、そして二人は周囲を確認し驚愕した。
「こ、これは!?」
「………」
銀髪美少女は驚愕の声を出し、鬼人美女は言葉を失った。
するとガサガサと音がしたため、二人は即座に戦闘に入れる体制になったが、
「おっと、待った待った!せっかく助けたのに攻撃されたら堪ったもんじゃないな。」
彼女たちは声を聞いて戦闘状態を解いた。
「貴方でしたか、通信魔法の声の主。」
「先程はありがとうございました。それで貴方は?」
銀髪美少女は助けてくれた青年にペコリと頭を下げ、青年の素性を知りたそうだった。
「自己紹介がまだだったな。俺の名はラスト・Iヴァレンシュタイン。ラストと呼んでくれ。」
用語
【魔法】
旧時代ではお伽噺の産物だったが、【大崩壊】と共に現れた万能の力。
力の度合いによって5段階に分けされている。
・〖低位魔法〗生活に便利なもの、殺傷能力の低い魔法が多い。
・〖中位魔法〗殺傷能力がある魔法。
・〖上位魔法〗複数を殺傷させる魔法。
・〖高位魔法〗一個師団を壊滅させる魔法。
・〖超位魔法〗国一つを一撃で滅亡させる魔法。
それとは別に〖固有魔法〗がある。〖固有魔法〗は生まれ持った才能に完全依存する為、複製など不可能に近い。
アーガス・ヴァレンシュタイの【絶対切断】が〖固有魔法〗に属する。
【連撃雷弾】は〖高位魔法〗に属する。
【魔物】
・キラーアント
漆黒の甲殻を纏った蟻。甲殻は鉄のように固いが甲殻の隙間と頭を的確に攻撃すれはほぼ一撃で即死はするが、もし瀕死状態のまま放置したままにすると仲間を呼ぶフェロモンを出す為、確実に止めを刺す事が推奨される。基本的に小隊~中隊規模の集団を作って行動している。
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